エースを逃した男が本格化の兆しだ。盛岡大付(岩手)は開会式のリハーサルを終えると、午後から神戸市内で軽めに調整した。

打線を看板に掲げるが、関口清治監督(41)は投手でも左右2枚看板への自信を口にした。左腕エースの阿部秀俊に続く2番手には、「ボールに一番力がある。もともとは、エースにならなければいけない選手」と右腕・木内優成(ともに3年)を指名した。

公式戦は1年秋から登板し、2年夏は1回戦で先発の「開幕投手」。だが新チームでは制球難からスランプに陥り、まだ背番号1はつかめていない。だが直近1週間の練習試合では、下関国際(山口)戦は7回1安打無失点、前日21日の天理(奈良)戦では6回を救援して勝利投手になるなど、4試合15回1/3を5失点。上旬の九州遠征では自己最速139キロを計測し、「甲子園に向けた調整が実ってきた」と復調した。

野球部員だけが集まるクラスでは常にテストで1、2位の成績を収め、音楽を除いてほぼオール5という頭脳派だ。まだ調整途上のセンバツ序盤で1人が完投するのは難しく、関口監督も「調子を見て切り替えるのは大いにある」と継投を見据える。木内は「秋はエースに頼り切りだったので、今度は秀俊との2枚看板でいきたい。勝つために自分も貢献したい」と、ブルペンから登板の機会をうかがう。【中島正好】