<センバツ高校野球:高松商8-0春日部共栄>◇23日◇1回戦

大会注目の好投手が、初日で大会を去った。春日部共栄・村田賢一(3年)は“甲子園”に対応しきれなかった。地方大会と違い、ファウルなどでボールが交換されるたびに新球が手元に届く。「握り方とか、毎回の新球に対応しきれなかったです」。8回8失点、回を追っても修正しきれなかった。

投球動作前に、右手でグラブ内の白球を転がすのがルーティン。「ファウルで傷がついて、指のかかりが微妙に変わるので、1球ごとにベストの場所を探します」。特技の六面立体パズルを適当に数回転させて渡せば「競技用のキューブもネット通販で買いました」などと話しながらどんどん両手を動かし、58秒で完成。そんな手先の運動能力とリズムを、大舞台で発揮しきれなかった。

最速147キロも、この日は142キロ止まり。「ボールも体も完全に2段階上がった状況で、また臨みたい。パーフェクトな自分を出せるように」と夏を見据える。テスト勉強がない時には、株など興味があることを独学する勉強家。「まだまだ実力不足です」。最後の夏へ、まだまだ学ぶ。【金子真仁】