<センバツ高校野球:市和歌山3-2呉>◇23日◇1回戦

野球記者歴40年の米谷輝昭記者のコラム「ヨネタニー'S・ファイル」がスタート。試合の明暗を分けたワンプレーに注目します。

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グラブに収まったはずの球がこぼれた。同点の延長11回1死後、呉・梅田利功右翼手(3年)が自分の前に落ちた打球を処理しようとしたときだった。「(グラブから右手に)球を持ち替えようとしたらスッポ抜けてしまった」。打者走者の二進を許した。記録は安打と失策。2死後、中前打でこの走者が生還し、サヨナラ負けが決まった。

失策は市和歌山1、呉に2。開幕試合では18年連続して失策が記録された。01年の東海大四-東邦戦を最後に無失策試合がない。開会式の余韻が残る中では、思わぬミスも出る。梅田は「(9回に)追いついてからは、緊張もなくなったんですが」と力なく話した。

背番号18。急きょ回ってきた先発出場だった。レギュラーの田辺舜治(3年)が1週間前の練習試合で右手首に死球を受けた。その田辺から打撃用の手袋を譲り受けて出陣した。しかし3打数無安打。打席でも結果は出せなかった。

「単打でいいから打ちたかった。(守りでの)しょうもないミスをなくして、戻ってきたいです」。試合時間2時間6分。短すぎた甲子園に、夏のリベンジを誓った。【米谷輝昭】