岩手のドラフト候補投手は大船渡の最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)だけじゃない! 花巻東エース右腕・西舘勇陽投手(3年)が、20日の春季岩手県大会準々決勝で、昨秋の自己最速を5キロ更新する147キロをマーク。

「冬に上半身と下半身を連動させるフォームを作り直した。県内に日本一の投手がいるのは刺激になる。自分はチームを勝たせられる投手になりたい」。一関一戦で5回から2番手登板すると、完全救援でプロのスカウト陣にもアピールした。

1年時から「大谷2世」と期待され、東北大会準優勝。佐々木よりも先に「新怪物候補」の注目を浴びた。昨年は春、夏の甲子園で登板も、腰痛の影響で投球フォームを崩し、伸び悩んだ。秋も県決勝、東北大会準決勝で敗れた悔しさは、発奮材料だ。

“行方不明事件”が性格を象徴する。腰治療のため、電車で通院予定だったが音信不通に。野球部関係者や両親が“捜索”。乗り継ぎに迷ってベンチに座ったまま「疲れて寝ちゃっていました…」。携帯も乗車時マナー徹底で電源オフに。起こされるまで熟睡した“大物”だ。鎌田茂コーチ(66)も「あいつはタヌキやキツネとも会話できるんですよ」と苦笑いで証言するほど、大自然の中で育った愛されキャラだ。

昨秋にプロ志望届を提出した最速144キロ右腕で兄の洸希投手(筑波大1年)は盛岡三時代に2度、佐々木と対戦して敗れている。スライダー、フォークなどの変化球もさらに磨き、兄の思いも引き継ぐ。先輩の大谷、菊池の背中も追うのんびり屋は「3年生なので引っ張らないと」と投球も精神も急成長中だ。【鎌田直秀】