初の春夏連続甲子園出場を目指す履正社(大阪)に、頼もしい新星が登場した。大阪大会で大阪電通大高との4回戦に臨み、公式戦初先発の岩崎峻典投手(2年)が15奪三振の快投で1失点完投。エース温存でベスト16進出を導いた。

大阪桐蔭など強豪がひしめく激戦区の大阪を勝ち抜くには、投手は何枚いてもいい。「RISEI」の背番号17にも注目の夏だ。

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つかんだチャンスは逃さなかった。春の府予選で、ベンチにすら入れなかった履正社の2年生右腕・岩崎が、公式戦初先発のマウンドで存在感を示した。

春に覚えた悔しさを忘れたことはない。星稜(石川)に初戦で敗れたセンバツはベンチ入りメンバーだったが、その後の不調で春の府予選はメンバー外。スタンドから声援を送るしかない自分に、みずからムチを入れた。

作った目標はひとつ。「夏に借りを返す」。体幹トレーニングやストレッチなど、体作りに没頭。冬から球速は5キロ上がり、最速は142キロに到達。「悔しいって思いながらやってきました」。誰も見ていないところでも重ねた努力で再び、ベンチ入りを勝ち取った。

成長した姿を見せつけた。初回1死から2者連続三振。「2つ三振を取っていけると思った」。公式戦初先発の不安を16球でぬぐいさった。そこから2回の2人目の打者まで4者連続三振。カットボールがさえ、自己最多という15個の三振は全て空振り三振。2点リードの4回に3安打を浴び1点差に迫られたが、「要所要所で粘り強い投球ができた」。低めに集め、5回以外は毎回奪三振だ。岡田龍生監督(58)は「8回終わって聞いたら野口(海音捕手=3年)もまだいけると言うので」。背番号17が期待を上回る快投で、118球の完投劇を完結させた。

激戦の大阪を制すには、投手は何人いてもいい。岡田監督も「100点満点。ストライクが先行できたら今日みたいにいける」と目を細めた。試合後は温存できたエースの清水大成投手(3年)にアイシングを巻いてもらい「いつも声をかけてもらいます。ナイスピッチと言ってもらいました」とはにかんだ。「甲子園で優勝できるように貢献したい」。春の借りをしっかり返し、甲子園に導く意気込みだ。【望月千草】

◆岩崎峻典(いわさき・しゅんすけ) 2003年(平15)3月11日生まれ。大阪市出身。城北小ではソフトボールチームのの城北ユニオンズでプレーし、大宮中では大淀ボーイズに所属。履正社では1年秋からベンチ入り。176センチ、76キロ。右投げ右打ち。