名寄地区で、稚内大谷が名寄を15-3で下し6年連続30度目の秋全道大会出場を決めた。

5回に1点差に詰め寄られるも、7回2死二塁で、6番伊藤拳太朗左翼手(2年)が貴重な右前適時打を放ち、傾きかけた流れを引き戻した。2回戦まで8打数1安打、打率1割2分5厘と不調だったが、前日の居残り練習で感覚を取り戻し、この日は4安打3打点と爆発。出場11人中10人で22安打を放っての快勝劇につなげた。

   ◇   ◇   ◇

稚内大谷が3戦41安打、計33得点と強力な打撃力で、30回目の全道切符をつかんだ。この日のキーマンは伊藤だ。5回1死一、三塁で左前適時打を放つと、7回2死二塁で、今度は右前に適時打を放ち、追い上げる名寄を突き放した。チーム最多の4安打を放って勝利に貢献し「昨日までみんなの足を引っ張っていたから、チャンスで何とか打てて良かった」と喜んだ。

今大会が公式戦初出場。14日の士別翔雲戦まで3番瀬川永夢三塁手、4番笹森琉太中堅手、5番石垣剛一塁手(いずれも2年)の中軸がいずれも5割超えと好調な中、6番伊藤が8打数1安打、打率1割2分5厘とブレーキになっていた。前日の試合後、本間敬三監督(35)と居残りで打撃練習し「肩の開きが早い」と指摘を受け、フォームを修正。練習後、同監督から「明日は絶対に打てるから。思い切っていけ」と魔法の言葉を授かり、しっかり結果を出した。

今夏の北北海道大会は、初戦で好投手伊藤佳希(3年)を擁する旭川北に、完封負けを喫した。同学年の田中宏季遊撃手、笹森、石垣の3人はベンチ入りしていたが、伊藤はスタンド応援。「夏は力になれず、もどかしかった。秋から試合に出始めた自分たちが力をつけていかないと全道では勝てない。さらにレベルを上げていきたい」と次を見据えた。

春27回、夏32回、3季通じ計89回目の道大会。15年夏から17年秋まで8季連続道大会出場を果たした強豪校も、2季連続の道大会は、17年秋以来となる。本間監督は「チームが切り替わるこの時期に、高いレベルの相手とやれるのは大きい。春や夏にもつながる」。89年春に全道制覇も、甲子園がかかる夏は準優勝、秋は4強が最高。打撃好調で勢いのある今秋、最北から初の聖地を狙う。【永野高輔】