室蘭地区は、鵡川が今夏まで8季連続道大会出場の駒大苫小牧に延長10回の末2-1で競り勝ち、3年ぶり8度目の秋全道大会進出を決めた。

8月19日に亡くなった佐藤茂富元監督(享年79)のもと02年センバツに初出場した際も、前年01年秋の地区代表決定戦で駒大苫小牧に延長10回、2-1で勝利。18年前の熱闘を再現し、同校強化に尽力した天国の元監督に全道切符を届けた。

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ぎりぎりの戦いを制し、鵡川が3年ぶりの秋全道切符を勝ち取った。延長10回1死三塁、石塚康平三塁手の中犠飛で阿部柊希主将が決勝の生還。難敵、駒大苫小牧から適時打ゼロで2点を奪うと、公式戦初先発のエース右腕、稲葉美徳(すべて2年)が10回7安打1失点で初完投。稲葉は「勝つことより、やるべきことをやるということを全員で意識した。最後まで集中して戦えた」と振り返った。

鬼海将一監督(35)がエースだった01年秋の室蘭地区代表決定戦も、同監督が延長10回完投し2-1で駒大苫小牧に勝ち、勢いに乗り全道8強。翌02年に21世紀枠でのセンバツ切符をつかんだ。当時の対戦を思い出した鬼海監督は前日夜、寮でその映像を阿部主将と佐々木隼斗捕手(2年)に見せた。阿部は「甲子園帰りの相手にも堂々としていた。落ち着いてやれば僕らもできるという気持ちになれた」と、勝利のイメージをふくらませていた。

天国の名将に、全道切符を届けた。02年を含め同校を3度甲子園に導いた佐藤氏が、8月19日に死去。エース稲葉は小学生のとき、OBで5歳上の兄仁慶さん(22)に会うため両親と選手寮を訪ね、同氏にお菓子をもらったことを覚えている。今大会前には、部員全員で当時の指導映像を見ており「すごい監督がいたチームに僕らはいる。みんなでまた甲子園に出て、強い鵡川にしたい」と誓った。

教え子の鬼海監督にとっても感慨深い1勝だ。監督就任後初の道大会となった今夏の南北海道大会は初戦敗退。「全道でも恥ずかしくない試合をしないと。常に全力疾走で」。さらに勝ち上がり、次は甲子園で躍動する姿を、恩師に届ける。【永野高輔】