盛岡商が4-1で盛岡一との公立対決を制して4強入りを決め、91年以来28年ぶりの東北大会(10月11日開幕、岩手)出場に王手をかけた。

エース右腕・桜庭悠空(1年)が疲労を抱えながらも今大会3戦連続完投。守備陣も7回裏に遠山翔矢中堅手(2年)が本塁補殺で同点を防げば、二遊間も3度の併殺を奪って盛り上げた。

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1年生エース桜庭が死力を尽くした。最後も二遊間の併殺で締めてガッツポーズ。2日連投後、中1日で3戦連続完投。制球を重視した球数を抑える省エネ投球で、3戦合計341球を投げきった。「勝ててホッとしました。ランナーが出てからギアを上げた。スライダーが低めに決まったことが良かったし、点を与えない気持ちの部分が自分の強み」。試合のなかった前日17日は初めて酸素カプセルに入るなど静養。父からも入念なマッサージを受けて、好投につなげた。6回には勝ち越し中犠飛を放ち、打撃でも貢献した。

守備陣の援護も受けた。2-1で迎えた7回2死二塁、中前打を浴び「足の速い走者だったので、やられたと思った」。だが、遠山の矢のような好返球で本塁タッチアウト。「本当に感謝しかない」。ベンチに戻ってきた先輩たちとハイタッチで喜びあい、勝利への雰囲気は最高潮に達した。「セカンド、ショートが3つもゲッツーをとってくれたことも助けられた。ふと油断すると肩に痛みはあったけれど、仲間が助けてくれた」と笑顔も絞り出した。今週末の残り2試合も投げ抜く意欲を示した。

先制の中前適時打も放ち、攻守で殊勲の遠山は「あと1勝に集中力を持って挑戦したい」と意気込む。新チームとなって「指摘」をスローガンに掲げ、お互いを高め合ってきた結束力は、21日の準決勝で対戦する盛岡大付を破った経験がある3年生にも負けていない。「ここまで来たら強豪しか残っていない。公立でも頑張って勝てることを証明したい」。平成元年最初の優勝校が、令和初の秋も全身全霊で東北切符獲得に挑む。【鎌田直秀】