白樺学園が高崎健康福祉大高崎(関東・群馬)に2-3で競り負け、昨年優勝した札幌大谷に続く道勢2年連続の決勝進出を逃した。

7回2死三塁、2番手で登板していた右腕エース片山楽生(らいく、2年)のショートバウンドになったスライダーを、相手9番の右打者に左前へ運ばれ、勝ち越された。打線も満塁チャンス4度のうち、3度が無得点。投打ともに勝負どころで決めきる力を磨き上げ、春の進化につなげる。

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1球の怖さを痛感した。6回に2点差を追いついた直後の7回2死三塁、片山はカウント1-2から、渾身(こんしん)のスライダーで三振を取りにいった。「2ストライクまで完全に相手が空振りしていたので一気に打ち取る気持ちで投げた」。ボールは鋭く縦に曲がり、ベース手前でショートバウンド。この直後、まさかの瞬間が待っていた。跳ね上がった球は、高崎健康福祉大高崎・山畑が出したバットに当たり、打球はそのまま左前に抜けた。

「ワンバン打ち」で決勝点を献上し、8回2死満塁のチャンスで4番として打席に立ち、空振り三振に倒れた。カウント2-2から、相手エース左腕下の内角高め直球に、思わず手が出た。片山は「外だと思ったら内に来た。あそこで打って取り返したかったのに。ワンバンを打ち返された変化球も悪い球じゃなかった。相手の方が1球への思いが強かった」と素直に負けを認めた。

10日、神宮で東京都大会決勝を観戦後、続けて東都大学1、2部入れ替え戦をチームで観戦した。亀田直紀部長(32)から選手たちに「勝ったら天国、負ければ地獄。そういう戦いをしっかり見るように」と伝えられていた。勝負への緊張感を植え付け大会に臨み、初戦国士舘戦は、9回に1点差と詰め寄られながら逃げ勝った。一転してこの日は、満塁チャンス3度を逸し残塁15。1点差で敗れた。群馬3位から関東王者になり、神宮でもタイブレーク2連勝で勝ち上がってきたしぶとい相手に、全国で勝つ難しさを学んだ。

戸出直樹監督(44)は「粘り強くやってくれたが、あと1本出なかった。全国4強でも、選手は悔しいと感じたはず。その思いを冬の練習にぶつけてくれたら」。大舞台で戦える手応えと、1球1打の大切さを、身をもって経験した。収穫と課題を持ち帰り、ひと回り大きくなって全国舞台に戻ってくる。【永野高輔】

○…0-2の6回先頭で、3番宮浦柚基二塁手(2年)が、公式戦初となる左越えソロを放った。8回には右膝に死球を受けるもフル出場。副主将として、初戦でも決勝の右越え2点適時三塁打を放っており、2戦計4安打4打点と気を吐いた。「全国大会に出る投手は直球も速く、しっかりコーナーをついてくる。春までにチームとして、高いレベルの投手を打ち崩せるよう、しっかり練習したい」と話した。

▽白樺学園・業天汰成主将(2投手をリード)「(決勝打を打たれた場面は)片山にショートバウンドでもいいと伝え、その通りのボールを投げてきた。あれを打たれたら仕方がない」

▽白樺学園・宮浦柚基二塁手(6回に左越えソロ。8回に右膝に死球もフル出場)「本塁打は公式戦初。1本打てたのは良かったが、チームとして負けたのは悔しい。1球の重みを感じた」