センバツ(3月19日開幕)では新2年生となる1年生プレーヤーに注目だ。昨秋近畿王者で出場確実な天理(奈良)には、メガネがトレードマークの瀬千皓(せ・ちひろ)外野手(1年)と193センチ右腕の達孝太(たつ・こうた)投手(1年)の名字1文字「セ・タツコンビ」がいる。ほかにも4番打者や素材抜群の投手などスター候補が、春の甲子園で躍動しそうだ。出場32校は24日に発表される。

冬の寒空へ向かって右に左に豪快な打球を飛ばしていた。天理が練習する親里球場でスポーツ用メガネをかけた瀬は「思い切りフルスイングしようと。広角に打つことを意識しています」と、フリー打撃で背中が反るくらいに強いスイングを続けた。

秋はラッキーボーイだった。近畿大会までの背番号は「20」。大阪桐蔭との決勝で本塁打を放った。ベンチ入りが18人に減った明治神宮大会は「17」。2試合連続本塁打を含む8打数4安打8打点と大暴れした。準決勝の中京大中京(愛知)戦では今秋ドラフト1位候補の右腕、高橋宏斗投手(2年)から左翼へ2ランを放った。「もう1度打てと言われても簡単に打てる投手ではない。自信になった」と経験値を高めた。

痛みを抱えながらの1発だった。その前の2回戦仙台育英(宮城)戦で三塁への内野安打を放った際に一塁へヘッドスライディングして右膝を痛めていた。3週間ほど休み、治療に専念して回復。今冬は暖かいこともあり、今はその分も取り返そうとガンガン打ち込んでいる。「甲子園では背番号7をつけたい。本塁打も打ちたいが、どうでもいい場面の本塁打より勝ちにつながる安打を打ちたい」。97年以来23年ぶりの春制覇への一打を誓う。

今年の初詣で、瀬は2カ所連続でおみくじが「大吉」だった。奈良・春日大社では3年連続の「大吉」と、強運ぶりは健在。初めての甲子園でも、ラッキーボーイになりそうだ。【石橋隆雄】

◆瀬千皓(せ・ちひろ)2003年(平15)6月11日、奈良県生まれ。あすか野小2年の時にあすか野ファイターズ(軟式)で始める。上(かみ)中では生駒ボーイズ。投手、捕手をしていたが天理では外野専念し1年秋からベンチ入り。「視力は0・1もない。メガネに怖さはない」と小学4~5年からかけている。好きな選手はソフトバンク柳田。179センチ、82キロ。右投げ右打ち。

天理・中村監督(瀬について)「打って自信になればいいが、1年生なのでこれまでは怖い物知らずで振っていた。相手も研究してくる。本当の力はこれから」