第92回センバツ高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の出場32校が決定し、21世紀枠で磐城(福島)が選出された。

昨秋の東北大会中に台風19号の影響を受けたが、46年ぶりに2勝を挙げ8強入り。71年夏に「小さな大投手」田村隆寿氏(67)を擁し準優勝するなど、甲子園9度出場を誇る文武両道の古豪が、95年夏以来25年ぶりに聖地に戻る。11年の東日本大震災で大きな被害を受けたいわき市にとって、復興を象徴する吉報となった。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。

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165センチの「小さな大投手」も喜びを爆発させた。71年夏にエースとして磐城を準優勝に導いた田村さんは「夏は甲子園に出場するのが難しいからね。自分が生きているうちに甲子園に行けるとは思ってなかった(笑い)。日程が合えば、応援に行こうと思っています」と激励した。

田村さんは制球力が武器で、71年夏の甲子園では4試合で四球0。3連続完封で勝ち上がった桐蔭学園(神奈川)との決勝、大会34イニング目の初失点が決勝点となった。現エースの沖には「球威がなければ、丁寧に投げるしかない。甲子園の雰囲気に上がるだろうから、早めに捕手に構えてもらって、キャッチャーミットに集中。後は自分を信じることだね」と経験を通した助言を送った。

田村さんは磐城の監督としても85年の夏に甲子園出場。現在、指揮を執る木村監督を1年だけ指導しているが「どんな選手か覚えてない(笑い)。私学には打線で勝てないから、1点を守り勝つ野球で勝ち上がってほしいね」とエールを送った。【高橋洋平】

◆磐城の71年夏 165センチ、62キロの「小さな大投手」田村隆寿が日大一、静岡学園を5安打、郡山を8安打で3試合連続完封し決勝進出。桐蔭学園・大塚喜代美との投げ合いとなった決勝は、7回裏に1点を失い、0-1で惜敗した。カーブとシンカーを駆使した田村は大会4完投で35回、自責点1の防御率0・26。田村だけでなく平均身長170センチにも満たない選手たちの健闘は、ユニホームの色から「コバルトブルー旋風」と呼ばれた。