第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で開かれ、出場32校が決定した。昨秋の中国大会で4強入りした広島新庄は中国・四国地区最後の5校目に選ばれ、6年ぶり2度目の出場を決めた。迫田守昭監督(74)の指導の下、左腕2枚を軸とした鉄壁の守備が武器で、初夏通じて初の全国制覇を狙う。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。

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広島県北の大自然に囲まれたグラウンドに、広島新庄ナイン60個の帽子が高々と舞い上がった。昨秋の中国大会は4強。当落のボーダーラインに立っていた。その中国大会では優勝の倉敷商(岡山)と延長11回まで戦い、中国・四国の5枠目で選出。待ちこがれた吉報に笑みがはじけた。迫田監督は「朝から長い1日だった。まだかまだかと。ほとんど練習に身が入らなかった。なんとか選ばれて非常に感謝しています」と喜んだ。

打線には左打者がズラリと並ぶ。9人全員が左の試合もあった。迫田監督は「守備が良い選手を使っている。たまたま左が並んだ。鉄壁の守備には自信を持っています」と説明した。2時間半と短い練習時間の中で、守備練習が3分の2を占める。指揮官は「大柄な選手はいないし、ゴンゴン打つチームではない。守備で点をやらずに、数少ないチャンスを捉えていく」と力を込めた。

中国大会3試合で完投した左腕の秋山恭平(1年)が投手の軸となる。身長167センチと小柄で、直球は最速137キロながら切れ味が鋭い。中学時代はU15日本代表に選ばれた左腕は「世界を経験して、あんまり緊張せず、平常心でゆとりを持って投げられます」と強心臓を持つ。元ソフトバンク、巨人で活躍した同じ左腕の杉内俊哉(現巨人2軍投手コーチ)を理想と掲げる。

秋山の他にも同じ左の秋田駿樹投手(2年)、長身右腕の花田侑樹投手(1年)ら豊富な投手陣がそろう。迫田監督も「投手は楽しみな子が多い」と期待を寄せる。センバツの目標について主将の下志音(しも・しおん)外野手(2年)は「優勝を目指したいですけど、まずは初戦を大事に、1戦1戦をしっかり戦っていきたい」と引き締めた。チームスローガンは「全力疾走」。甲子園の頂点まで突っ走る。【古財稜明】