一昨年の最強王者が2年ぶりに甲子園に帰ってくる。第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で開かれ、出場32校が決定した。

18年に春夏の甲子園を連覇した大阪桐蔭は、昨年の出場が0。西谷浩一監督(50)は11度目の春を前に「出るからには日本一」と頂点奪回を誓った。2年連続9度目の履正社(大阪)は史上5校目の夏春連覇に挑む。両校は優勝候補で、ともに勝ち進めば17年決勝の再戦の可能性もある。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。

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西谷監督は力強く頂点奪回を誓った。「3季連続で甲子園を逃すことはできないと選手にも伝えた。昨年の分も含めて日本一を目指したい」。藤原恭大や根尾昂らのスター軍団を擁し、18年の聖地で春夏連覇。だが昨年は一転、8年ぶりに春夏とも甲子園に出場すらできなかった。「甲子園に飢えている」。指揮官がそう表現してきたリベンジへの思いはナインも同じだ。

全員、まだ甲子園でのプレー経験がない。だが西谷監督は言う。「大きなチームになる可能性も持っている。可能性の非常にあるチームだと思う」。昨秋の大阪を制し、近畿大会は準優勝。粒ぞろいのメンバーの成長に自信を見せる。

自慢の強力打線に加え、投手力もアップさせて進撃を期す。西谷監督は「日本一になるためには複数の投手がいる。本当の軸となる投手がこの大会でつくれるか」と説明。エースの最速141キロ左腕、藤江星河投手(2年)を軸に身内バトル激化でレベルアップ。ベンチ入り最大5人の投手が大きな武器で、いずれも140キロ超えのスケールだ。

最速146キロの1年生右腕、関戸康介投手も「成長させてくれるような場所。立ちたい」と甲子園デビューを狙う。長崎・佐世保出身で高知・明徳義塾中では軟式でも146キロを計測した逸材だ。直球を生かすべく、現在はチェンジアップも習得中で「感覚的にいい」と手応え。「神メンタル 『心が強い人』の人生は思い通り」(星渉著・角川書店)を読み、精神面での強化にも取り組んでいる。

ほかにも183センチのパワー右腕・申原(のぶはら)理来投手(2年)、185センチ左腕・松浦慶斗投手(1年)、安定感抜群の1年生右腕・竹中勇登投手も140キロを超す。秋ベンチ外だったメンバーも含め、指揮官は2月中旬の登録選手提出期限ギリギリまで争わせる。春3度の優勝はPL学園と並び3位タイ。名実ともに大阪最強の勲章を手に入れ、ド派手にTOIN復活を目指す。【石橋隆雄】

◆17年センバツ大阪桐蔭-履正社の決勝 大阪桐蔭は藤原恭大や根尾昂(ともに2年)、履正社は安田尚憲(3年)らが主力メンバー。ともに強打で勝ち上がり、決勝史上初の大阪対決が実現した。決勝点は3-3の同点で迎えた9回表。大阪桐蔭が代打西島一波(3年)の決勝2ランで、5年ぶり2度目の優勝を決めた。履正社は3点ビハインドの8回裏、2死からの3連打などで同点に追いついたが、エース竹田祐(3年)が踏ん張れなかった。

◆18年の大阪桐蔭 藤原恭太(ロッテ)や根尾昂(中日)ら、後にプロ入りする強力打線を軸に100回目の夏を制し、史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成した。投手陣もエース柿木蓮(日本ハム)や横川凱(かい=巨人)なども躍動し、同一高校から歴代最多タイとなる4人のプロ野球選手を輩出。2000年生まれのミレニアム世代で「銀河系スター軍団」とも称された。

○…大阪桐蔭の主砲・西野力矢内野手(2年)は、25日に卒業式を迎える先輩に感謝し、甲子園の打席に立つ。「3年生が打撃投手をしてくれたおかげ。外角や変化球のリクエストに応えてくれました」。逆の右方向へも広角に打つために、数え切れないほど投げ込んでくれた。「打撃フォームがよくなって打球も強くなった」。感謝の快音を届ける。