磐城21世紀枠 71年夏コバルトブルー旋風再び

  • 磐城ナインは帽子を投げて喜ぶ(撮影・柴田隆二)
  • 磐城の甲子園成績
  • 71年8月、夏の甲子園で決勝進出を決め笑顔でガッツポーズする磐城・田村隆寿

<第92回選抜高校野球:選考委員会>◇24日◇大阪市

第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の出場32校が決定し、21世紀枠で磐城(福島)が選出された。昨秋の東北大会中に台風19号の影響を受けたが、46年ぶりに2勝を挙げ8強入り。71年夏に「小さな大投手」田村隆寿氏(67)を擁し準優勝するなど、甲子園9度出場を誇る文武両道の古豪が、95年夏以来25年ぶりに聖地に戻る。11年の東日本大震災で大きな被害を受けたいわき市にとって、復興を象徴する吉報となった。組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。

懐かしのコバルトブルーが甲子園に帰ってくる。部員20人を前に木村保監督(49)は涙をこらえきれなくなった。「21世紀枠という困難を克服したり模範になっているとか、素晴らしい取り組みをしている学校の代表として選出されたことを心に刻んでくれ。選ばれたにふさわしい戦いを披露してください。まだ道半ば。日々精進していきましょう」と声をかけた。

東北大会で初戦突破し岩手からいわきに戻った翌日、台風19号の直撃を受けた。ぶっつけ本番で臨みながら2回戦も勝利。準々決勝で力尽きたが、地元に戻るとすぐにボランティアに出向いた。住民から「頑張ったね」と声をかけられ岩間涼星主将(2年)は「地域の方々に支えられていることを再認識した」。木村監督は「地元の方々に励まされ心が磨かれたと思う。甲子園に行って勝つんだという気持ちを持ったと思う」と成長を感じ取った。

復興への思いは強い。現2年生は小2の3月に東日本大震災を経験。自宅の庭まで津波が押し寄せた岩間主将は、当時の恐怖を忘れない。加えて福島第1原発の事故による放射能の影響で、神奈川県の親戚宅に避難。東海大相模が優勝したセンバツをテレビ観戦し「外で遊ぶことも困難なのに、いい環境でプレーしている選手がうらやましかった。野球ができなかったあの日の感情も背負ってプレーしたい」と思いを口にした。

3月14日には常磐線も全線開通予定。ゆっくりと、確実に復興が進む。岩間主将は「今度は僕たちが子どもたちに『信じ続けることの大事さ』を証明したい。それは甲子園に出るだけじゃなく、勝つことで証明できる。大きな夢を与えたい」。71年夏は、福島勢最高の準優勝で炭鉱の閉山が決まっていた町に希望を与えた。熱い使命感を胸に、聖地で復興の象徴となる。【野上伸悟】

◆磐城の71年夏 165センチ、62キロの「小さな大投手」田村隆寿が日大一、静岡学園を5安打、郡山を8安打で3試合連続完封し決勝進出。桐蔭学園・大塚喜代美との投げ合いとなった決勝は、7回裏に1点を失い、0-1で惜敗した。カーブとシンカーを駆使した田村は大会4完投で35回、自責点1の防御率0・26。田村だけでなく平均身長170センチにも満たない選手たちの健闘は、ユニホームの色から「コバルトブルー旋風」と呼ばれた。