野極友太朗内野手(2年)は、センバツのメンバー入りを果たしたが「少し複雑です」と下を向いた。加藤学園(静岡)入学から昨夏まで、1度もベンチ入りした経験がなく、背番号をもらえない悔しさを十分に知っていたからだ。「メンバーに入れなかった人たちの思いも背負っていきたい」と表情を引き締めた。

昨秋の公式戦には、ベンチ入りも試合への出場はなし。三塁ランナーコーチを任せられ、その仕事をまっとうした。ベンチ内でも気を抜かない。「自分の性格的に周りを盛り上げる役が合っている」と話すとおり、チームが守備に入っている場面では、大きな声でグラウンド上の選手だけでなく、ベンチメンバーの士気も上げた。

「チーム力を大事にしている」と野極。試合に出ていなくても、ともに戦っている姿勢を崩さない。藤枝明誠との昨秋県大会決勝を振り返り「チーム全体でキャッチボールを大事にしてきたのに、そのミスで負けた。自分はベンチからプレーに関わっていたと思っているので、悔しかった」。舞台が甲子園に変わっても、姿勢は変えず。「チームで勝つ。ベンチもスタンドも一丸となっている姿を全国に見せたい」と力を込めた。【河合萌彦】

◆野極友太朗(のぎわ・ゆうたろう)2003年(平15)2月22日、三島市生まれ。中郷ファイターズ、三島南中野球部を経て、加藤学園高へ。2年秋からメンバー入りした。右投げ右打ち。168センチ、61キロ。血液型O。家族は両親と弟2人。好きなタレントは、お笑いコンビ・流れ星のちゅうえい。

※「至誠」とは、加藤学園高の校訓で誠実で品位のある姿勢を示す。「全ての事は心からはじまる」を部訓とする野球部にも通じる言葉です。