中止となったセンバツに21世紀枠で出場するはずだった磐城(福島)が5日、2月29日以来の実戦となる紅白戦(7回制)2試合を行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で実戦ができない日々が続いてきたが、夏の甲子園を目指し、たまっていたエネルギーを爆発させた。

福島商に転任した木村保前監督(49)から引き継いだOBの渡辺純監督(38=前いわき光洋)は、審判をしながら選手の動きを見つめた。エース沖政宗投手(3年)は投球しない中、後に続こうとする投手陣が奮起した。1試合目では控え組のBチームが、主力組のAチームを6-4で下した。秋は2番手の右腕佐藤綾哉投手(2年)が完投勝利を飾れば、敗れたとはいえ本職は1塁の右腕・小川泰生(3年)、外野の左腕・竹田洋陸(3年)、同じく外野の国府田将久(2年)も気迫の投球を見せた。小川は打では6回に左越え本塁打。渡辺監督から打席に入る前に「ホームランを打て」と言われ、見事に応えて見せた。「監督が新しくなって、その打席の前まではアピールのため、率を残そうとしてしまった」。182センチ、83キロの体格を生かすアドバイスを早速生かした。

上田賢内野手(2年)は2安打、柳沢諄捕手(2年)も適時打、菅波陸哉外野手(3年)も安打を放つなど、控え組が新監督のもと、必死のアピールを見せた。渡辺監督は「展開を考えて自分たちでできる。僕の数倍きめ細かいですよ」と初実戦での動きに満足げ。岩間涼星主将(3年)は「改めて野球の楽しさに気づかせてもらった。でもAチームがここで負けていてはいけない。人一倍努力して、守備からリズムを作る自分たちの野球目指したい」と喜びの中にも、反省を忘れなかった。【野上伸悟】