高校野球の代替大会が1日の岩手を皮切りに始まった。注目校や選手を紹介する連載「白球にかける夏2020」の第3回は、11日に開幕する山形編です。昨夏の山形大会準優勝校で、同秋県大会4強の山形中央は新チーム移行後に立てたテーマ「日本一の挑戦者」を掲げる。18日の初戦(2回戦)では左沢と寒河江工の勝者と対戦。太田大和投手(3年)がエース左腕の系譜を継承し、最後の夏舞台に挑む。

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今夏、高校で初めて「1」を背負う太田にとって、18年楽天5位の佐藤智輝(20)と19年ソフトバンク育成7位の村上舜(18)は大きな存在だ。「練習の目的に具体性を持っていた。ここ(山形中央)に来たから良い投手になれるのではなく、1人1人が考えて練習をしていた」と先輩左腕2人の姿を振り返る。庄司秀幸監督(44)は「彼の財産は2人と練習をして、プロに行く球を身近で見てきたこと。先輩のいいところを盗んで、自分で練習を組み立てて良くなった」と成長を感じている。

昨夏は鶴岡東に敗れ準優勝。同秋は県大会準決勝の日大山形戦、3位決定戦の東海大山形戦で連続サヨナラ負けを喫し、東北大会出場を逃した。全3戦に登板した太田は「応援してくださる方々に、あと1勝で残念な思いをさせた。やるべきことを出し切って、優勝という結果で、自分たちと一緒に喜んでいただきたい」。オフは筋力トレーニングやランニングメニューに加え、連日約200球を投げ込んだ。1日に8、9合の白米を摂取する食トレ効果で、昨秋時点で67キロの体重は75キロに増加。よりボールの力強さが加わった。

就任17年目の庄司監督は「(太田は)プロに行った投手6人と比べて、総合的に考えると一番いいと思う。病気やケガをしないタフさや、大事な試合に力を発揮してくれる勝負強さ、練習量も多くて、変化球の精度も良い」と絶大な信頼を置く。加えて野手陣にも「昨夏にベンチ入りした青木(陸翔)、小浦(幸之介)、武田(将太=いずれも3年)はチームのために尽くせる。こういう選手がいる時は強い」と期待を寄せる。悔しさをバネに一皮むけた新エースを軸に、5年ぶりの夏制覇を見据えた。【相沢孔志】