夏季北海道高校野球大会は6日、札幌、室蘭、小樽、空知、旭川、十勝地区の組み合わせが決まった。空知の芦別は、たった1人の3年生、主将の加藤勇斗内野手が、1、2年生10人ととも最後の夏に挑む。初戦の2回戦で岩見沢西-滝川の勝者と対戦。ここまで支えてくれた後輩たちに、全力プレーで恩返しする。

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1人の3年生はみんなのために、みんなは1人の3年生のために。芦別は昨秋、野球部8人にラグビー部の助っ人3人を加えての出場だった。最後の夏は、野球部員でチームが組める。加藤は「後輩たちが入ってくれたから。ミスなく、打撃では1本でも多くヒットを打って、感謝の思いを伝えたい」と気を引き締めた。

高校入学時、野球部出身の同級生3人に声をかけたが、「ほかのことに挑戦したい」と全国出場経験のあるラグビー部に入部した。それから2年半、同学年はずっと1人。「1年のときは本当に寂しかった」。昨春7人、今春3人が入部し“弟分”は10人に。成田剛中堅手(2年)は「盛り上げ上手で野球もうまい。1年のときに整備の仕方も丁寧に教えてくれた。加藤さんと1試合でも多く戦いたい」。アニキとの最終章。そう簡単には終わらせない。

歌志内中時代は空知滝川リトルシニアに所属。昨秋全道王者の白樺学園・業天汰成捕手、準優勝の札幌日大・明田圭喬投手はチームメートだった。加藤は「2人の活躍は刺激になった。何とか最後に道大会に出てみたい」と、自身初の道大会切符を見据えた。

金子磨志監督(54)が「みんなで加藤の最後を見届けよう」と呼びかけ、今大会限定でラグビー部の7人もベンチ入りする。入学時に声を掛けたがラグビーを選んだ3人も加わる。もう1人じゃない。仲間の愛に包まれながら、白球を追いかける。【永野高輔】