秋田商は秋田との伝統校対決を4-3で制し、8強入りを果たした。最速142キロエース石川陸斗(3年)が苦しみながらも2戦連続完投。打っては途中出場の八柳光佑外野手(3年)が値千金の逆転打を放った。19日に4強をかけて湯沢翔北と対戦する。

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石川の闘志に火がついた。1点リードの8回。ギアを1段階上げ、130キロ台後半の直球を軸に先頭を左飛、後続を3球三振と左飛に抑え、この試合初めて三者凡退で片づけた。9回も3人でピシャリと封じ完投も「自分で言うのもあれですけど、エースらしくないピッチング。8回にギアを上げ、いいリズムで守備ができた。それを初回からできれば良かった」と反省。それでも「8回の真っすぐは手応えがあった」と唯一の収穫に挙げた。

7回の攻撃では直前の守備から出場した背番号17の八柳が、逆転二塁打でチームを活気づけた。ベンチはお祭りムード。それに呼応するように石川の投球に力強さが増す。「八柳は去年から背番号をもらっていたが、あまり試合に出られていない選手。自主練や日ごろの練習でも頑張っている人が打ってくれてようやく火がついた」。8回からエースの投球を取り戻した。

10日の2回戦は6回コールドで14三振奪い完封も、この日は積極的に振ってくる秋田打線とあって、三振を狙わず低めにボールを集めることに重点を置いた。ゴロやミスショットを誘い、4回までは先頭を1人も出さず無失点。2-0の5回に自らの暴投など3点を奪われ、試合をひっくり返されたが、粘り強く投げ続け反撃に備えた。

チームは初戦から失策ゼロと鉄壁の守備を誇る。石川は「死に物狂いで守ってくれる安心感はあった」とバックに全幅の信頼を寄せる。「ここまで来たら勝ちにこだわりたい。試合を通して周りがいるのを感じたし、自分1人でやってはいけないのを再確認できた。次も一戦一戦乗り越えたい」。チームスローガン「諦めない心」のもと、古豪・秋田商が5年ぶりの覇権奪回に挑む。【山田愛斗】