今夏の甲子園大会、地方大会の中止を受けて都道府県高野連が独自に開催する代替大会で、福岡は2地区で決勝が行われ、筑後地区は西日本短大付が貫禄の優勝を果たした。エース右腕の浜崎太志(3年)が3安打1失点で完投。打線も久留米商のミスを逃さず3得点。92年夏の甲子園優勝時の4番だった高原典一監督(45)は年末で退任する。コロナ禍を乗り越えたナインが最高の恩返しを決めた。

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胴上げが心地よかった。西日本短大付の高原監督がナインの手で宙に舞った。今年末で退任が決まっている指揮官にとって、甲子園行きにはつながらない代替での筑後地区大会とはいえ「最初で最後の夏」で最高の結果を残した。

高原監督 大変うれしく思います。代替大会が決まってから優勝したいと言っていたのでいい結果になりました。

エース浜崎が久留米商を封じ込んだ。「高原監督さんが(夏は)最後になるので、優勝したかった」。気合のマウンドだった。4回には失策もからんで1点を先制されたが、5回以降は無安打。6回以降はパーフェクトに抑えた。高原監督も「スライダーが良かった。ピンチでも落ち着いていた」と褒めた。

1年前、夏甲子園をかけた決勝で筑陽学園に敗れた。その後、当時コーチだった高原監督がリベンジのかじ取り役を担った。昨年秋は甲子園に届かなかったが夏にかけていたところにコロナ禍。「選手のモチベーションを上げるのが難しかった。約2カ月間、練習もできなかったことを考えれば、立派な結果です」。練習試合ができるようになった6月に福岡大大濠と練習試合試合をしたときから選手の目の色が変わったという。「負けましたが相手のプロ注目投手からヒットを打って、俺たちもこうなりたいよねと言うようになってスイッチが入った」。92年西日本短大付4番で夏全国制覇した経験で選手の気持ちも引き上げてみせた。

今年末で退任予定のため、今年秋が公式戦最後となる。「秋は甲子園(来年センバツ)を目標にしてチーム一丸となって頑張りたい」。甲子園が消滅した3年生だが、高原監督そして2年生以下のナインに最高のバトンタッチをしてみせた。【浦田由紀夫】