優勝まで、あと1球から暗転した。3-2の9回2死三塁。佼成学園・平沢燎投手(3年)は東海大菅生・千田を追い込んだ。カットボールを2つ振らせ、カウント2-2。5球目の勝負球にもカットを選んだが、最後に甘く入った。中前に抜かれ、土壇場で同点。ガックリ肩を落とした。「最後は抑えたら優勝と、だいぶ気持ちが入りました。少し力んだかな」。エースナンバーを争ってきた森士恩投手(3年)に後を託した。

延長で、その森が打たれサヨナラ負け。46年ぶりの夏優勝は逃したが、平沢に悔いはなかった。同点打の場面。「また同じ状況でも、カットを投げます」と言い切った。2つ上の先輩に握りを習い、昨冬に投げ込んで身につけた。直球一辺倒から脱却させ、野球人生で初めて「1番」をつける手助けになった球種。「負けて悔しいですが、完全燃焼できました」と言えた。

▽佼成学園・藤田直毅監督(平沢に) うちには、これ以上の投手はいないので9回も任せました。途中までテンポよく投げてくれました。もう1点、取っていれば違ったでしょう。