インターネット連動の高校野球動画企画第5弾は、市原中央(千葉)の「最後のミーティング」です。7日の3回戦で木更津総合に敗退。3年生にとっては、最後のミーティングとなった引退式にカメラが潜入し、熱い青春の1ページを撮影しました。

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体育館に集まった3年生部員39人を前に、滝田優司監督(38)は涙を枯らした後、静かに語り出した。「思い出したのは君たちの努力。歯を食いしばって努力した姿を鮮明に思い出した。こんなにも努力できる集団になるとは思わなかった」。

昨夏の千葉大会で初の4強。主力選手が残り、夢の舞台に手応えを感じていた。今夏の目標は甲子園で1勝。「努力できる人間と甲子園を語り合いたかった。それが君たちだった」。

無情にも新型コロナウイルスの感染拡大を受け、5月に夏の甲子園大会(全国高校野球選手権)の中止が決定。選手たちは夢舞台へのスタートラインにすら立てなかった。引退式で「どういう気持ちで野球をやればいいのか分からなかった」「誰にも言えない感情がこみ上げてきた」と3年生たちが正直な気持ちをぶつけた。そんな現実を経験した球児たち。冬場の強化練習を乗り越え「あの厳しさは愛だったんだ」と笑って振り返る球児たちに滝田監督は続けた。

「努力しても汗を流しても(今年の)高校野球のように都合のいいようにいかないことが多い。大事なのは努力すること、続けること。支えてくれた人への感謝。自分の力を過信しない。都合のいい結果が出なければ、自分の努力を見直さないといけない。悪いのは人ではない。環境ではない」。社会に出ればこれまで経験した以上のつらさ、厳しさが待ち受ける。「だから努力を続けなさい」と説いた。

滝田監督は「つらかった、大変だった時間をみんなと共有できてすごく楽しかった。いつでも戻ってきてください。君たちの原点はここにあります。いつまでも誇りに思える野球部を先生もがんばって作っていきます」。そう締めくくった滝田監督を3年生全員が胴上げした。【横山元保】