<甲子園高校野球交流試合:中京大中京4-3智弁学園>◇12日◇甲子園

剛腕高橋はドラフト上位級!! 日刊スポーツ評論家が甲子園交流試合に出場する逸材をチェックする「プロ目線」で、元阪神投手コーチの中西清起氏(58)が150キロ超えを連発した中京大中京(愛知)の高橋宏斗投手(3年)を絶賛した。上半身の使い方を大リーグなどで活躍した黒田博樹氏(45)になぞらえ、外角低め直球に投げる「原点能力」をべた褒めした。【取材・構成=酒井俊作】

 

特に指に掛かった球がいい。腕の振りが非常にいいから序盤は外のボール球のスライダーを振らされていた。全149球中、150キロ以上が35球。終盤も球速が出るから馬力も余力もある。炎天下でも集中力を切らさずに投げ、スタミナも問題ない。今秋ドラフト上位で指名される逸材だ。

体全体を使って投げている印象だ。グラブを前に出した時は鳥が羽を広げているようで、それくらい大きく使えている。左腕でグラブを出し、胸を張って、弓を引くようにトップを作る。そこから投げ下ろすまでの、一連の上半身の動きは、大リーグや広島で活躍した黒田博樹氏に似ている。地肩や肘、手首に頼らず、下半身もしっかり使えている。とにかくバランスがいい。

だから、だろう。原点といえる外角低めへの「真っすぐ能力」が高い。力投型に目立つシュート回転もない。逆にカット気味に速球を投げられる。右打者から逃げていく軌道で、球質は非常にいい。プロに入っても、すぐに修正すべき大きな欠点はないと思う。

4回1死満塁で右打者への外角速球で奪った空振り三振は見事。2死球後だけに指に掛かった球は素晴らしかった。原点に自信があるはずだ。私が阪神でコーチだった時、藤浪が高卒1年目だったが、彼も原点能力が高かった。投球練習で「ラスト1球、行きます」と言って必ずアウトローにバシッときていた。重要な球だな。

細かい点も指摘しよう。序盤から浮き気味だった変化球は、ちょっと腕が下がるように投げる傾向が見えた。スライダー系を横に滑らそうとしすぎて腕が下がって押しているように映った。高校生は腕の振りの速さでごまかせるがプロの打者は腕の位置で見極める。速球と同じ腕の振りで上から投げ下ろすことを心掛けた方がいい。ともかくプロに入れば2、3年後が楽しみ。そんな力量を持っている。(日刊スポーツ評論家)

◆高橋宏斗(たかはし・ひろと)2002年(平14)8月9日生まれ、愛知県出身。三郷小2年から三郷ファイターズで野球を始め、6年時にドラゴンズジュニアに選ばれた。尾張旭東中では豊田シニアでプレーし、3年夏は全国16強。中京大中京では1年夏からベンチ入り。昨秋の明治神宮大会優勝を導いた。183センチ、84キロ。右投げ右打ち。