八戸学院光星は、今夏の青森県独自大会決勝で敗れた青森山田に逆転サヨナラで勝利し、準決勝進出を決めた。9回、佐藤航太内野手(1年)が値千金の一打を放ち、雪辱を果たした。

佐藤のバットが緊迫した試合にケリをつけた。「自分で決めるつもりだった」。1点を追う9回1死二、三塁、初球を思い切り振り抜くと、詰まった打球は中堅手の前にポトリと落ちた。三塁走者に続き、二塁走者も本塁へヘッドスライディング生還。劇的勝利にナインは一斉にベンチを飛び出し、喜びを爆発させた。殊勲の佐藤は「真っすぐを狙っていた。打球が落ちた瞬間は、涙が出そうなくらいうれしかった」。本塁上では待ち構える先輩たちと抱き合い、手荒い祝福を受けた。

序盤は苦しい展開だった。2回に失策が絡み2失点。打線も相手の好投手・藤森粋七丞(2年)の前に歯が立たなかった。だが、0-2の3回から登板した1年生エース右腕・洗平歩人(あらいだい・あると)が、流れを変えた。130キロ台後半の直球に変化球を織り交ぜ、4回2安打無失点と好救援。父竜也さん(41)は同校OBで、1年生からエース左腕として活躍。かつて中日でプレーした元プロ選手でもある。父と同じ背番号1を託した仲井宗基監督(50)は「洗平の力投がチームに勝利を呼び込んでくれた」と目を細めた。

2年ぶりの東北大会出場に向けて、次戦は弘前学院聖愛と対戦する。指揮官は「秋はチームが未熟で、粗削りな部分がある。勝ちながら力をつけていきたい」。1戦1戦を勝ち抜き、光星ナインがたくましくなっていく。【佐藤究】