静岡県勢2校はともに逆転負けを喫し、来春センバツ出場は絶望的となった。加藤学園は7回に3番・植田颯斗外野手(2年)の逆転打などで一時リードを奪ったが、8回裏に投手陣が東邦(愛知2位)打線につかまって競り負けた。常葉大菊川は2回までに5点リードを奪う立ち上がりも、1点リードで迎えた9回に2ランスクイズなどで3点を奪われ海星(三重3位)に敗れた。25日の2回戦では藤枝明誠が、岐阜第一(岐阜3位)と対戦する。

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加藤学園は、5投手のリレーも実らなかった。2点リードの8回、3番手・船橋知聖投手(1年)がソロ本塁打で1点を返され、なお1死一、二塁のピンチをまねき降板。後続の2投手も踏ん張れず、東邦に逆転を許した。積極的な投手起用が裏目に出た米山学監督(42)は「力及ばず、ですね」と、ため息をついた。

県大会も細かな継投で勝ち進んできたが、東海地区の強豪は甘くはなかった。4回から2番手として登板し、先制2ランを浴びた石山拓真投手(1年)は「県だと甘く入っても外野フライだったが、東海ではスタンドまで持っていかれた。体格も、ふた回り違った」。雨宮快成捕手(2年)は「1~9番まで良い打者がそろい、甘いところは見逃さない。もっと自分の意思を投手に伝えられていれば、防げる失点があった」と悔しさをにじませた。

打線は序盤に苦しんだが、中盤以降に相手投手陣をとらえた。5回に1点を返すと、1点を追う7回表1死二、三塁で植田が内角の直球を左前に運び、一時逆転に成功。塁上で感情を爆発させた。「前の打席で凡退していたので『何とか抜けてくれ』という思いだった」。しかし、チーム目標の「1試合5得点」を果たせずに敗れ「投手を打線が支えられなかった」と唇をかんだ。

これで来春の甲子園行きは厳しくなった。しかし夏に向け、意識を切り替える。チームの司令塔・雨宮は「全国レベルの力を知ることができた。今日出た課題を克服し、甲子園で勝てるチームを目指す」と前を向いた。【河合萌彦】