明石商vs市尼崎 公立勢決勝/兵庫

明石商野村が右翼越えに決勝2点本塁打を放つ(撮影・浦田由紀夫)

<高校野球兵庫大会:明石商3-1神港学園>◇28日◇準決勝◇姫路ウインク

 明石商がシンデレラボーイの登場で2年連続の決勝進出を決めた。

 同点の4回2死二塁。高校での公式戦2打席目を迎えた野村弥慶(みのり)外野手(3年)が構えた。低めフォークをすくい上げた打球はどんどん伸びて右翼芝生席へ。一塁側スタンドからの歓声のなか、ダイヤモンドを回る野村は、喜びと驚きに包まれていた。

 「ホームランになるとは思わなかった。スタンドの応援が後押しになったと思います」。高校最後の夏準決勝に公式戦初出場。それも7番で初スタメンの遅咲きヒーローに白い歯が浮かんだ。

 今センバツで8強に進んだが野村はスコアラーだった。ベンチには入れなかったが、打撃練習だけはあきらめずに続けてきた。夏に向けて「調子が良くなってきたので、フォロースルーを大きくことを心がけて練習してきた」。その姿を狭間善徳監督(52)は陰で見ていた。

 「相手右投手はスライダーと外の直球で攻めてくるのであいつ(野村)が合うと思っていた。もともと打撃はいい子」。その眼力は決勝進出の大きな原動力となった。

 「決勝は全力を尽くしてチームの勝利に貢献するだけです」。最後の夏に初めてもらった背番号は16。デビュー戦でヒーローとなった野村の活躍で、明石商が夏初の甲子園に挑む。【浦田由紀夫】