酒田南が猛打で4強 打者一巡×4回21安打23点

米沢中央対酒田南 3回裏酒田南2死、左越え本塁打の中西は三塁を回り本塁へ向かう

<高校野球秋季山形大会:酒田南23-2米沢中央>◇22日◇準々決勝◇荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた

 山形で連覇を狙う酒田南が、猛打で4強入りした。米沢中央の5投手に21安打を浴びせて、5回コールド23-2と圧勝した。攻撃した4イニングすべてが打者一巡、先発全員安打、2者連続本塁打など長打7本を記録。2年連続の東北大会(10月14日開幕、山形)出場に王手をかけた。宮城では利府が9回裏に3点差をひっくり返し、東北に4-3でサヨナラ勝ち。夏の決勝で敗れた雪辱を果たし、4強入りした。

 強くバットを振り抜いた打球が何度も内野手の間、外野手の頭上を越えていく。21安打23点。鈴木剛監督(35)がうなった。「本当に集中力を持ってやってくれた」。2回から強い雨が降り出し、グラウンドに水が浮き出した。それでも酒田南は、打ち出の小づちのように打ちまくった。

 初回に4連打、2回は5連打が出た。3回は2死から5番中西啓太郎内野手、6番佐藤敦樹捕手(ともに2年)が2者連続アーチをかける。4回は四球、敵失にタイムリーを絡めた。7点取った初戦(2回戦)は16安打で長打3本。鈴木監督は「初戦は長打が少なかった。課題にしっかり取り組んでくれた」と褒めた、この日の7長打。強打を前面に押し出すカラーは、新チームでも変わらない。

 冬場は1日1000~1500スイングする。ティー打撃は30分間ぶっ続けで600球打ち込み、バットを振り込んで体をつくる。本塁打を含む4安打4打点の佐藤敦は「スイングが速くなる。(ボールを)芯で捉える感覚を覚える」と効果を明かす。鈴木監督は「他校より打席に立つ時間は少ない」と言うが、その少ない打席で1球で仕留める集中力を養う。同監督は「しっかり振れない選手は使わない」とまで言い切る。強く振り抜くことを徹底しているからこそ、面白いようにヒットが飛び出す。

 ドラフト候補の大砲、石垣雅海内野手(3年)が抜けた。だがレギュラーの2年生5人が残り、破壊力は失っていない。投手陣にまだ不安があり、鈴木監督は「打っていかないといけない、と言っている」と話す。優勝候補筆頭として挑んだ今夏は、準決勝で鶴岡東にコールド敗退。くしくも明日24日の準決勝は、夏の再戦になる。「鶴岡東への思いは強い」と佐藤敦。東北切符と同時に、リベンジをかけた一戦だ。【久野朗】