不来方OBボートの菊地孝平が激励「常勝、必勝」

4日、地元浜名湖での準優勝戦を前に後輩たちへエールを送る菊地。翌日、見事に優勝を飾った

 第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に21世紀枠で出場する不来方(こずかた、岩手)に、偉大な先輩から激励メッセージが届いた。ボートレースでグレード最高峰のSG5勝を誇るトップレーサーの菊地孝平(38=静岡)は岩手・八幡平市出身で、不来方野球部OBの7期生。卒業後はボートレースの世界に身を転じ、生涯獲得賞金は12億円を超える菊地が「勝利の儀式」を授ける。

 後輩たちのセンバツ出場に、菊地の喜びもひとしおだった。野球部では「1番遊撃」の主力で、高3夏は3回戦に進出した。

 菊地 自分の同期は14人いて、3学年で40人ぐらい。部員10人の逆境の中で頑張っている。手の届かなかった甲子園に後輩が行ってくれるのはうれしい。

 勝負の世界に身を置く菊地だからこそ、伝えたいことがある。自身の経験から導き出した「勝利の儀式」を惜しみなく授けた。

 菊地 19年もプロでやってきた。こうやってレースに取り組めば良かった、というものがある。まずは、自分たちが勝つ姿を想像してほしい。試合が終わり、勝って喜ぶ姿を明確に想像すると、勝つイメージが自然に湧いてくる。

 今でも欠かさず続ける「勝利の儀式」でつかんだ優勝で、後輩たちを祝福した。5日の地元浜名湖のG1優勝戦に勝ち、節目となるG1・10勝。続く14日の丸亀一般戦も制し、通算51度目の優勝を達成した。

 菊地 勝てる試合のイメージをしておくと、頭の中で1回は疑似体験済みなので浮足立たない。野球に例えると、強い相手に中盤でリードしている時に「あ、本当に勝てる」と思っちゃうと緊張してミスにつながる。明確に勝っている姿を想像していれば、リードしていることに動揺しない。勝っている試合の流れをリアルにイメージすることが大事。これだけは実践してほしい。

 センバツに臨む心意気もアドバイスした。

 菊地 「甲子園に出るからには」という言葉を使ってほしくない。センバツに出ることを喜ぶのも大事だけど、僕の中ではネガティブな言葉。優勝候補が「出るからには」とは言わない。甲子園で優勝を目指している高校は「勝たなきゃ」と思って臨む高校とはモチベーションが違う。今の不来方がそのレベルじゃないかもしれないけど、試合には絶対に勝たないといけない。常勝、必勝なんです。そのような気持ちで臨めば、今回いかなる結果が出ても、夏への材料が見つかる。夏までに取り組む練習の課題が明確に見えてくる。【高橋洋平】

 ◆菊地孝平(きくち・こうへい)1978年(昭53)8月16日、北海道・札幌市生まれ。父の仕事の関係で10歳の時に岩手・西根町(現八幡平市)に引っ越す。高校卒業後は岩手大の合格を辞退して、ボートレースの道へ。82期生として98年5月に浜名湖でデビュー。05年のMB記念の優勝に始まり、SG優勝5回。G1優勝10回、通算優勝51回。14年には年間賞金王に輝いた。生涯獲得賞金は12億6151万7301円(17日時点)。165センチ、53キロ、血液型AB。