クラーク一挙9点で智弁和歌山撃破「春に向け自信」

招待試合を行い、一緒に写真に納まるクラーク、北海、智弁和歌山の選手(撮影・西塚祐司)

 昨夏に創部3年目で甲子園初出場したクラークが、強豪撃破で春へ弾みをつけた。4日、春夏甲子園に32度出場している智弁和歌山と昨夏甲子園準優勝の北海を深川市のW・S・クラークスタジアムに招いて招待試合を実施。智弁和歌山戦では打線が16安打を放ち、7回には一挙9点を奪い12-4で快勝した。

 創部4年目のクラークが伝統校を一気にたたみかけた。1点ビハインドの7回。6番腰山拓斗捕手(3年)の二塁打を皮切りに、4連打を含む打者一巡の攻撃で9点。12-4での大勝に、佐々木啓司監督(61)は「選手たちが途中から相手投手に対応して打ってくれた」とほほえんだ。

 結果以上に得るものがあった。相手は甲子園常連校。さらに、この日は延べ約1000人の観客がグラウンドを囲む異様な雰囲気だった。決勝打を放った及川大輔右翼手(3年)は「これはミスできないと思った」と苦笑い。プレッシャーのかかる中、右腕の市戸優華(3年)は3回まで無失点に抑える好投。リズムが生まれ7回の反撃につながった。佐々木監督は「良い緊張感で試合できたのは大きい」とうなずいた。

 前日3日に深川入りした智弁和歌山とは一緒に練習した。及川は「打球がえぐい。向こうの方が体もひと回りもふた回りも大きい」と圧倒された。市戸は完投はしたが、最終回だけで5安打を許し3失点した。「相手のスイングが速くて甘いコースは打たれる。点差はあったが逆転されるような重圧があった」。ナインが強力打線を肌で感じたことは貴重な経験となった。

 佐々木監督と高嶋仁監督(70)は30年来の親交がある。甲子園歴代トップの63勝の名将は「昨年より数段良くなっている」と、クラークを評価。昨年初めて聖地に立った若いチームを「出ることで自信になり、いろいろなことを覚えて勝利につながる。ここ数年の間で1つレベルが上がると思う」と語った。

 試合後はバーベキューパーティーで交流を深めた。13日に開幕する春季大会空知地区では、14日の1回戦で岩見沢農と対戦する。「春に向けて自信になった。夏は甲子園で智弁と戦いたい」と市戸。赤い軍団と戦った経験を胸に公式戦に臨む。【西塚祐司】