北照15安打9点出直し1勝 不祥事秋辞退から復帰

北照対双葉 8回2死三塁、2点本塁打を放った中山が生還し歓喜する北照スタンド(撮影・西塚祐司)

<高校野球春季北海道大会地区予選:北照9-4双葉>◇13日◇小樽地区2回戦◇小樽桜ケ丘

 出直しの1勝だ。小樽地区は、部内不祥事で昨年の秋季大会出場を辞退した北照が公式戦に復帰。15安打9得点と強打が爆発し、双葉に9-4で逆転勝ちした。昨年8月から年末まで続いた活動停止を乗り越え、甲子園春夏通算8度出場の強豪がリスタートを切った。

 北照が2本のアーチで再出発した。2-2の6回無死走者なし。6番大場要成右翼手(3年)が左翼にソロアーチを運び勝ち越した。6-3の8回2死三塁では5番中山竜之介中堅手(2年)が左中間にダメ押しの2ラン。4長打含む15安打9得点で昨秋の地区代表校を退けた。1月に部長から就任した上林弘樹監督(37)は「みんな硬かったが大場の1本でホっとした。自分も初めてで緊張して疲れました」と振り返った。

 昨年8月、部員の不祥事を理由に活動を停止。秋季大会を辞退した。ライバルが熱戦を繰り広げる中、ナインは授業後すぐに下校。一時期は野球へのモチベーションが下がりかけた。秋季全道大会決勝は札幌第一が連覇した。球場で観戦していた大場は「悔しい気持ちでいっぱいだった」と再び闘志に火がついた。

 昨夏から年末まで野球部での練習はなし。大場は自宅の庭で素振りをし、母朋子さん(51)のサポートで羽根打ちを黙々とこなした。ナインそれぞれが甲子園という目標をあきらめなかった。年明けから全体練習が再開。「一体感」をテーマにチームがまとまった。

 公式戦経験者は八和田恭希主将、池田光汰二塁手(ともに3年)の2人だけ。実戦不足を補うため、大型連休は函館と青森に遠征。練習試合を11戦こなし、青森山田戦では4者連続本塁打も記録した。それでも、この日の初戦は「みんなシートノックからガッチガチで足が動かなかった」(八和田主将)。中盤から徐々に打線がつながり、本来の動きを取り戻した。

 サッカー部が応援に駆けつけた。にぎやかなスタンドに上林監督は「学校全体が勢いづくチームになれれば」。春季は8年連続で全道に進出している。「まずは地区の代表になりたい」と八和田主将。強豪が新たな1歩を踏み出した。【西塚祐司】