清宮消えた95号捕手が見失う筒香&バレ級スイング

作新学院対早実 8回裏早実無死、高校通算95号となるソロ本塁打を右越えに放つ清宮。左は真上を見上げる捕手加藤(撮影・江口和貴)

<高校野球春季関東大会:作新学院8-4早実>◇22日◇準々決勝◇ひたちなか市民

 早実(東京1位)の清宮幸太郎内野手(3年)が、作新学院(栃木2位)戦でDeNA筒香級の衝撃弾を放った。8回、捕手が打球を見失うほどのスイングスピードで右翼席後方の茂みに飛び込む通算95号、推定130メートル弾を放った。試合は4-8で敗れたが、強烈なインパクトを残した。

 清宮の強烈な打球が右翼方向にぶっ飛んだ瞬間、作新学院の捕手・加藤は自らの頭上を見上げた。大歓声を聞いて、ボールの行方を追い直したが、一瞬で右翼席後方の茂みの中に打球が消えた。清宮は「(内角の直球に)タイミングを合わせて、うまくさばけた」と、8回1死からの完璧な一打を振り返った。

 捕手の動きが、スイングの強烈さを物語った。打球を見失わせるのは、プロでも一流の技術と強烈なスイングを兼ね備えた大砲がなせる領域。侍ジャパンで正捕手だった巨人小林はスラッガーの名を挙げ、理由を推察した。

 小林 捕手からすれば、ポイントが近く、スイングの強い打者は急にバットが出てくるようなイメージ。(DeNA)筒香や(ヤクルト)バレンティンなんかがそうです。

 小林とともに侍ジャパンに選出された西武炭谷も同じ考えだ。

 炭谷 ボールを捕りにいって、バットが急に出てきたら、普通の人なら一瞬目を閉じます。スイングが強くて、速い清宮君なら打球を見失う可能性はあるかもしれません。

 かつて巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏もそうだった。フリー打撃の捕手役を務めたブルペン捕手が「見逃すと思って、ボールを捕りにいった瞬間、ブーンという音とともにボールが消えた」と証言。消えたボールは右翼席後方の木に当たって、球場敷地内に戻り、大きく弾んだ。プロと高校生のレベル差はあるが現象は同じだった。

 公式戦では、自身最長を更新する5試合連続のアーチだった。春の都大会準々決勝の駒大高戦から、相手のレベルが上がる中で結果を残し続けた。「気にしてなかったんで、びっくりですけど」と笑顔。「自分も自信になる。いいピッチャーへの対し方も出来つつある」と自信を深めた。これで高校通算本塁打も、神港学園・伊藤を超える95本に伸ばした。

 1発を放ちながら、チームは準々決勝で敗退した。全国制覇を達成するにはこの日の作新学院など、強豪校の撃破が求められる。「同じ結果を求めても成長はできないと思うので、さらにレベルアップしたいです」。節目の100号まで残り5本。週末には沖縄での招待試合が4試合予定され、今月中の達成も視界にとらえた。【久保賢吾】