星槎国際湘南が台風の目 146キロ本田母に恩返す

シート打撃に登板する星槎国際湘南の本田(撮影・赤津亮太)

<高校野球神奈川大会:組み合わせ抽選会>◇10日◇横浜

 甲子園出場で母への恩返しを果たす。第99回全国高校野球神奈川大会(7月8日開幕)の組み合わせ抽選会が10日、横浜市内で行われた。189校が参加する激戦区で、台風の目となりそうなのが今春ベスト4の星槎国際湘南だ。昨夏4回戦進出に貢献したエース本田仁海投手(3年)が、最速146キロ直球を武器にチームをけん引。2回戦(16日、保土ケ谷)で上矢部-厚木の勝者と対戦する。女手一つで育ててくれた母のためにも、甲子園初出場を目指す。

 本田は最後の夏を前に、高らかに宣言した。「1戦1戦倒して、目標である神奈川制覇の夢をかなえたい」。今春の県大会準決勝で敗れた横浜とは、勝ち進めば決勝で戦う。「星槎で甲子園に行って、県外のチームと戦いたい」と頼もしかった。

 中学時代は無名の投手が、プロから注目されるまでに成長した。直球は20キロ近く上がり、最速146キロをマークする。縦横のスライダー、カーブの制球力もある。今春の準々決勝では、昨秋王者の慶応を相手に11奪三振で完投勝利。スタンドの12球団27人のスカウトをうならせた。

 入学時は体重55キロも、毎晩ご飯をどんぶり2~3杯増やして75キロまで増量した。走り込みや、片足ずつ前に出して沈み込む「ランジ」と呼ばれるトレーニングを柔らかいマットの上で行うなど、下半身をいじめ抜いた。

 支えは女手一つで育ててくれた母だった。帽子のツバには「恩返し」と書いた。入学時は、母を残して入寮することに「不安でつらかった」と振り返る。だが、母から「寂しい部分もあるけど、それ以上に成長した仁海の姿を見たい」と背中を押され、覚悟が決まった。金銭的な負担を減らしたい、と野球道具は人一倍ていねいに扱っている。

 巨人高橋監督らを桐蔭学園時代に育てた、名将土屋恵三郎監督(63)は「昨春くらいから意識が変わってきた。朝の掃除や練習も真面目に取り組んでいる」と評価する。2年春からエースに抜てきし、チームの躍進につなげた。創部7年目で、過去最高成績は昨夏の4回戦進出。今夏、本田が歴史を塗り替えてみせる。【赤津亮太】

 ◆本田仁海(ほんだ・ひとみ)1999年(平11)7月27日、横浜市生まれ。北大和小1年から野球を始め、捕手兼外野手。小5から投手。つきみ野中では軟式野球部に所属し、中学2年から2年連続で県大会出場。星槎国際湘南では1年春からベンチ入りし、2年春から「背番号1」。好きな食べ物は母が作るオムライス。ニックネームは「ひとみん」。将来の夢はプロ野球選手。遠投115メートル。181センチ、75キロ。右投げ左打ち。