秋季高校野球東北大会あす開幕、全チームの注目選手

能代松陽・佐藤

 来春のセンバツ(3月23日開幕、甲子園)の重要参考資料となる秋季高校野球東北大会が、明日13日から福島で開幕する。来春のセンバツは第90回の記念大会で一般選考枠が通常より1枠増えて3つになり、出場のチャンスが拡大した。「みちのくプラス!!」では、野球記者とデスクの対話形式で出場全18チームから注目選手を取り上げる。

 

 デスク(以下デ) 国体で愛媛を満喫できたか?

 記者(以下記) 余裕ありませんよ。頭の中は東北大会のことでいっぱいでした。この秋はタイプの違う好投手がそろいました。能代松陽(秋田)のエース左腕佐藤開陸(かいり、2年)は165センチと小柄ながら、最速139キロを誇ります。けん制やフィールディングにもたけ、スタミナもあります。1年春に早実(西東京)との招待試合で先発し、怪物清宮幸太郎(3年)とも対戦しています。

 デ 同じ秋田出身の左腕、秋田商の成田翔(現ロッテ)級まで成長すると面白いね。初出場の由利工(秋田)には速球派がいたな。

 記 東北大会初出場の原動力となったエース佐藤亜蓮(2年)は最速142キロの馬力がある右腕です。

 デ 変化球に特長を持っている投手はいる?

 記 投球の半分以上を変化球で組み立てる投手が2人います。仙台育英(宮城)の佐々田依吹(2年)は沈むツーシームを、黒沢尻工(岩手)の菅原大夢(2年)は小さく曲がるカットボールを多投します。直球と同じ軌道から打者の手元で微妙に変化させて詰まらせます。

 デ この夏、高校日本代表が対応に苦労した微妙に動く球だな。注目しよう。

 記 他には15年夏以来7季ぶりの県王者に返り咲いた花巻東(岩手)は左腕の田中大樹(2年)の出来が鍵。光南(福島)の左腕小椋瑠偉(2年)は三振の取れるスライダーが軸です。

 デ 打者陣はどうだ? 山形に大型の長距離砲がいると聞いたが。

 記 酒田南(山形)の伊藤海斗外野手(1年)ですね。185センチ、85キロの大柄な体格で、秋の県大会では2戦連続でアーチをかけました。直球にはめっぽう強く、左投手としても最速135キロの直球を投げます。

 デ 勝負強そうな顔をしているな。

 記 その通りです。チームでは蛇に似ていると言われ、愛を込めて「アナコンダ」の名で親しまれています。「食らいついた獲物は逃さない」という意味でも、ぴったりだと思います。

 デ その伊藤に県大会準決勝で満塁弾を浴びた日大山形には珍名選手がいる。

 記 野球好きの父に命名された高橋殿馬内野手(2年)です。羽黒との県大会2回戦では1点差の9回に逆転三塁打を放ちました。「ドカベン」に出てくる殿馬の秘打とはいきませんが、勝負強さは本家級です。

 デ 青森では弘前東が準決勝で、初めて八戸学院光星を撃破した。

 記 延長10回に主砲の桜庭佑希也外野手(2年)が決勝ソロを放ちました。通算本塁打はすでに30本を超える左の長距離砲です。

 デ その弘前東を決勝で下し、4季連続優勝を果たしたのが青森山田だな。

 記 甲子園帰りで、安定した力を発揮しているのが3番赤平竜太内野手(2年)。この夏は、東北NO・1右腕と言われた最速152キロの八戸工大一(青森)の古屋敷匠真投手(3年)から本塁打を打っています。

 デ 優勝候補の呼び声が高い聖光学院(福島)はどうだ。近年で最強のクリーンアップだって騒いでいたけど。

 記 4番五味卓馬外野手(2年)が強烈です。県初戦は6番でしたが、着実に持っている力を発揮し、準々決勝から4番に定着。計5試合ですべて安打を放ち、17打数8安打3打点、打率5割に迫る勢いでした。

 デ 初出場の仙台南は、聖光と初戦で激突する。

 記 公立進学校ですが、選手はそろっています。4番岩崎勇利(はやと)内野手(1年)は中学時代に宮城利府ボーイズで東北選抜に選ばれた逸材。県大会では19打数10安打12打点と大活躍。文武両道軍団の下克上も見どころの1つです。

 デ 来春のセンバツは一般枠が3つ用意される。

 記 4強進出チームの1つが涙をのみます。勝ち方以上に負け方が問われます。最後まであきらめず、必死に戦ってほしいですね。【取材・構成=高橋洋平】