湖西・水野、静岡最速145キロ直球で初甲子園だ

現在、県内高校生最速145キロの直球を投げる湖西のエース水野

 湖西(静岡)のエースは、現在、県高校生最速145キロの直球を投じる水野喬日(もとか)投手(3年)で、既にプロ12球団が視察に訪れた逸材。チームは、この大黒柱を軸に、春夏を通じて初の甲子園出場を目指す。

 県最西端に位置する湖西のエース水野は、夏の主役有力候補だ。1年時から本格派右腕として存在感を示し、今や「県内最速投手」になった。

 水野 昨年より仕上がっているので楽しみです。シード校を倒して、みんなで甲子園に行きたいです。

 中学時代は、主に外野手や遊撃手でプレーした。投手は高校からで、次々と「壁」を突破してきた。1年夏に139キロだった球速は、同秋に142キロをマークした。多くの本格派投手が阻まれる「140キロの壁」を軽々と超えると、今年4月中旬の練習試合で、全国的にも高レベルとなる「145キロの壁」もクリアした。「まだ上がると思います。まずは150キロ」。

 さらに高い壁も視界に捉えている。昨年10月には、社会人のトヨタ自動車と三菱自動車岡崎の練習に参加。それまでは力みから、制球を崩す場面も見られたが、無駄のないフォームを習得したことで、「力を入れなくても球がいく。9回を投げきれるようになりました」と自信を深めた。

 球速とともに、精神面でも成長した。昨秋はあと1歩で県大会に届かず、悔しさが募った。味方の失策や、自らの四球でリズムを悪くしても周囲に声を掛けられず、「自己中でした」と振り返る。ある日、見かねた斎藤哲男監督(46)から「エースとして、技術的な中心であるより、人間として中心になりなさい」と諭され、意識が変わった。周囲への気配りができるようになった結果、投手としての心の余裕も生まれた。

 プロ12球団が視察したことも含め、今夏、多くの注目を浴びることになるが、「嫌いじゃないですし、プレッシャーは感じません」と頼もしい。心身ともに成長した水野が、「主役候補」から「主役」になった時、湖西ナインの目に頂点が見えてくる。【鈴木正章】

 ◆水野喬日(みずの・もとか)2000年(平12)10月2日、愛知・豊橋市生まれ。小2から細谷黒潮ボーイズで野球を始める。五並中から湖西に進み、1年夏からベンチ入り。右投げ右打ち。家族は両親と兄、姉。177センチ、75キロ。