春季高校野球東北大会きょう抽選、注目選手と秘話

弘前東・桜庭

 春季高校野球東北大会の組み合わせ抽選会が今日30日に青森で行われる。28日に出そろった6県全18代表が6月7日から5日間、春の東北王者を懸けて戦う。夏の甲子園第100回記念大会を前に、勝ち上がった6県各校のハイレベルな戦いに期待が集まる。抽選会前の緊急企画として、記者とデスクの対話形式で注目選手や原稿に書けなかった秘話を、こっそりお届けします。【取材・構成=高橋洋平】

 デスク(以下デ) 夏本番を前に、東北大会も盛り上がりそうだね。

 記者(以下記) 第100回記念大会に、記者として携われる喜びを胸に取材しています。東北各県大会も、例年より活気がありましたよ。まずは打者から紹介すると、弘前東(青森)の4番桜庭佑希也外野手(3年)は魅力的です。力と技を備えた左バッターで、同校の葛西徳一監督(32)も「打撃の指示はしない」と言うほど、完ぺきな存在です。

 デ 準決勝で2発も打って通算46号まで到達した。

 記 「津軽の大砲」の異名を持ち、今年の打者では東北有数の長距離砲です。西武森友哉をほうふつとさせる重心の低い打撃フォームから広角に長打を打ちます。チーム初の県制覇こそ逃しましたが、八戸学院光星と青森山田の私学2強に割って入る力はあります。

 デ 投手では19年ぶりの春優勝に導いた金足農(秋田)のエース右腕・吉田輝星(3年)の印象が強い。

 記 新屋との初戦では、複数のプロ球団のスピードガンで自己最速を2キロ更新する147キロを計測しました。175センチ、82キロのガッチリした体形から、力のある直球を投げ込みます。

 デ 昨夏の秋田大会決勝で吉田と投げ合った明桜の山口航輝投手(3年)はどうなった? その試合で右肩を亜脱臼したけど。

 記 すでに完治はしており、打者では今春に3発放ちました。投手としてはすでに練習試合で登板済みのようですが、山口は「夏一発勝負でも気にならない。東北大会では打撃で引っ張る」と宣言しています。

 デ 夏が楽しみだな。夏の福島大会12連覇を狙う聖光学院の投手陣はどうだ。

 記 センバツ時のエースは治療に専念して今春はベンチ外。他の2人も故障で調子が上がらない中、川口堅外野手(3年)を投手にコンバート。準々決勝で初先発し5回1失点。最速は130キロ台前半ながら、粘りの投球が持ち味です。

 デ “堅”つながりで、歌手の平井堅並みの彫りの深い精悍(せいかん)な顔つきだね。

 記 母方の祖父がスペイン人だそうです。J1神戸に入団するスペイン代表MFのイニエスタ級の活躍を期待したいですね。

 デ 山形城北がセンバツ出場の日大山形を準々決勝で破った。

 記 エース右腕の竹田葵(3年)は140キロに迫る直球が武器で9回4安打11奪三振1失点と完璧に抑え込みました。大会通じて30回34奪三振と力はあります。

 デ 羽黒(山形)の最速146キロ右腕・佐藤幸弥(3年)は今大会の背番号が18だった。

 記 庄内地区大会を前に発熱で離脱した影響です。県大会には無事に間に合い、防御率は2点台に抑え、実質的なエースでした。

 デ 今春は、監督が交代したチームが躍進した。

 記 元中日中尾孝義監督(62)率いる専大北上(岩手)は就任2年目で東北切符をつかみました。監督と同じ右打ちの捕手、4番角田麗斗(3年)が軸です。

 デ 盛岡中央(岩手)も古川学園(宮城)も春にかけて監督が交代した。

 記 盛岡中央は4番後藤厚樹内野手(3年)の長打に注目です。1回戦で最速153キロをたたき出した大船渡の佐々木朗希投手(2年)を攻略しました。古川学園は「不満大敵」を掲げ、チーム改革を進めています。エース安藤大晟投手(3年)は安定しています。

 デ 公立古豪の復活傾向はいいね。

 記 弘前工(青森)は3位決定戦で4番阿保楓真内野手(3年)が本塁打を放ち、17年ぶりの東北切符をゲット。福島商は準決勝でエース右腕の阿部大樹(3年)が9回1失点完投し、19年ぶりの出場を決めました。

 デ 仙台育英が復帰する宮城の夏はどうなる?

 記 永遠のライバル東北がリードします。1年夏の甲子園に出場した1番杉沢龍内野手(3年)が決勝でアーチをかけ、通算33号をマーク。2年ぶりの甲子園出場は、杉沢の活躍なくして語れません。