関根学園・茅野、守備範囲の広さはまるで広島菊池

軽快な動きでゴロを捕球する関根学園・茅野二塁手

 関根学園の主将・茅野仁英内野手(3年)は、6月2日に開幕する春季北信越高校野球大会(石川)で学校の新しい歴史作りに、まい進する。同校は北信越大会には過去、春秋合わせて2度出場しているが、ともに初戦敗退。1年春から1桁の背番号を背負い続けてきた主将が先頭に立って、北信越初勝利を狙う。2日、初戦の相手は福井商だ。

 守備力への評価は入学時から高かった。入学間もない1年春からただ1人、茅野は1桁台の背番号を背負い続ける。高校での公式戦デビューは、1年春は背番号4での二塁手。同年夏は背番号6で遊撃手を務めたが、以後は「4」を1度も譲らなかった。初戦敗退した16年秋の北信越大会・日本航空石川戦(1-6)も2番二塁手で先発。17年春の北信越は9番二塁手で啓新(福井)に0-9で負け、大敗の悔しさを味わった。「まずは1勝したい」。すべて“表舞台”を歩んできた主将は「三度目の正直」に挑む。

 安川巧塁(よしたか)監督(26)は「ここぞの俊敏さと、いいポジションを取っている」と不動の二塁手を評価した。「投手が投げるコース、球種、打者のスイングで第1歩が出る」と茅野は守備の“奥義”を明かす。守備範囲の広いプレーを見せつけられている後輩たちは「(プロ野球の)広島の菊池(涼介)が関根学園のグラウンドにいるみたい」と話すという。

 兵庫県伊丹市生まれ。「甲子園にまだ出場していないけれど、それに近い学校で甲子園に行きたい」と茅野は関根学園を選んだ。伊丹シニア出身で、副主将のエース西本航紀投手(3年)とは同じチームだった。「俺たちで甲子園に行こう」と話し合ってきた仲で、高校でも主将と副主将としてチームをリードする。春の県大会準優勝。県の“頂点”まであと1歩まで近づいた。

 県大会準々決勝の糸魚川戦で右越え本塁打を放つなど161センチの小柄な主将は打力もアップした。「北信越は夏を見据えた経験。チーム全体の打力を上げたい」と茅野は1勝を狙う北信越を、夏の予行演習にするつもり。遠征バッグには関根学園入学時に両親と姉妹からもらった「宝物」の手紙を4通入れていく。【涌井幹雄】

 ◆茅野仁英(かやの・じんえい)2001年(平13)3月13日生まれ。兵庫県伊丹市出身。松崎中では伊丹シニアに所属。高1の16年4月30日春季県大会の初戦2回戦・正徳館戦で高校の公式戦デビュー。9番二塁で先発し3打数2安打1打点。右投げ左打ち。161センチ、63キロ。血液型A。