<高校野球新潟大会:新井2-0羽茂>◇8日◇1回戦◇鳥屋野
新井の岡本宏太投手(2年)が羽茂を相手にパーフェクト投球をやってのけた。9回を16奪三振、109球で新潟大会史上初の快挙を達成した。最速130キロの直球と鋭い変化球を駆使し、第100回記念大会での記念碑的な投球。2-0で初戦を突破した。
歯を食いしばって岡本は投げた。県史上初の快挙達成まであと3人となった9回。2者連続三振に仕留め、最後の打者・代打の林樹(3年)を迎えた。カウント2-2から投げ込む109球目。ラストボールは直球と決めていた。力んで高めに浮いたものの、気持ちが乗った。最後の打者も空振りの三振。16個目の三振を奪ってパーフェクト投球を締めた。「夢みたいです」とマウンドを降りながら、今度は笑顔で白い歯を見せた。
背番号12。夏は初登録。そして初完投が完全試合の偉業になった。5回終了時のグラウンド整備の時点ですでに「完全」は頭の中を占めていた。「打たれたら交代させるつもりだった」という西村健監督(52)の思惑も覆す快投だ。羽茂打線は全員が右。外角のスライダーで打者を泳がせながらの空振り三振を積み上げ、記録が途切れそうなピンチも切り抜けた。7回1死には伊藤永遠(とわ)内野手(3年)に3ボール、0ストライクから持ち直して二飛に打ち取る。「3ボールの時は心が折れそうになったけれど、集中した」と言った。
昨年5月の練習試合で岡本は右くるぶしに打球を受けて骨折。夏に復帰が間に合わず、夏に向けた練習ではマシンのボール入れなど「縁の下の力持ち」に徹した。脇役を引き受けていた男が、1年後の夏に主役に躍り出た。肩の周辺の筋力強化、股関節の柔軟運動などできることはやってきた成果。「苦しい期間も諦めずに地道にやってきたことがこの夏、発揮できた」と話した。
昨年の2回戦。新潟向陽戦でエースの山本颯斗投手(3年)が10-0の5回コールドの参考記録ながら「完全試合」をやっている。試合後、その山本が「おめでとう」と言って抱きついてきた。「先輩たちに祝福されたのがうれしかった」。野手も、緊張を強いられる守備を無失策で援護した。「チームから信頼される投手になりたい」。その理想を、岡本は羽茂戦で実現させていた。【涌井幹雄】
◆岡本宏太(おかもと・こうた)2001年(平13)6月17日、上越市生まれ。野球を始めたのは清里小1年から。内野手と投手を兼ね、本格的に投手になったのは中学2年。好きな投手は金子千尋(オリックス)。右投げ右打ち。170センチ、65キロ。血液型A。
◆完全試合 新潟県高野連によると夏の大会での完全試合は初めて。春季、秋季を通じても記録の残る平成以降、9回での完全試合は初(過去には3回参考記録はある)。