南会津のクマ159センチ94キロ酒井吠える/福島

9回裏、勿来工1死一塁。併殺で勝利を決めて雄たけびをあげる南会津・酒井俊作一塁手

<高校野球福島大会:南会津2-1勿来工>◇9日◇2回戦◇いわきグリーンスタジアム

 福島大会で南会津が2-1で勿来工に競り勝ち、3年ぶりの初戦突破で夏通算13勝目を挙げた。身長159センチ、体重94キロの4番酒井俊作一塁手(3年)が先制打を含む2安打1打点で勝利に貢献。愛称「クマ」がムードメーカーとしてチームを鼓舞した。

 南会津の「クマ」がほえた。1点リードの9回裏1死一塁、相手8番打者の遊ゴロが二塁経由で転送されると、酒井が丸い体を目いっぱいに伸ばして捕球。ウイニングボールを手に、ガッツポーズで雄たけびを上げた。3年生は入学後、春秋の県大会出場はなし。県初勝利に涙ぐむ仲間もいる中、酒井は「先輩たちの分も勝てて本当にうれしい」と白い歯をのぞかせた。

 その体形でチームのマスコット的なキャラクターだ。愛称は「クマ」。酒井は「南会津ではよくクマが出るんです。打てないと『お前出なかったな』とよく言われます」とイタズラっぽく笑った。主砲として3回表2死一、二塁から先制の左前適時打。続く5番菅家優汰捕手(3年)の右前適時打につなげた。今春就任した下島泉監督(27)も「彼が打つとチームが活気づく」とムードメーカーぶりに目を細めた。

 選手登録は「160センチ、98キロ」だが、「本当は159センチ」と自己申告。体重も昨秋の84キロから98キロまで増やしたが、「腰の回転が悪くなった」と94キロにダイエット。それでも1日5食と筋トレを欠かさず、ベンチプレスは昨秋から約23キロアップの110キロを上げるパワーをつけた。打撃は「リーチが短いので8割は踏み込んで打つ練習をしています」と外角打ちを徹底。毎回守備に就く時は「グラウンドには神様がいる」と、一塁ベース前での一礼を欠かさない。「次も出現したい」とダイヤモンド上を駆け巡る。【佐々木雄高】