関西学院・水口が2安打 父は元オリ栄二氏/東兵庫

4番デビューを2安打1打点で飾った関西学院・水口(撮影・堀まどか)

<高校野球東兵庫大会:関西学院11-2県西宮>◇15日◇2回戦◇ほっともっと神戸

 東兵庫大会で、第1回大会から100回皆勤校の関西学院が11得点の快勝発進を決めた。元オリックス打撃コーチ水口栄二氏(49)の三男、登間(とうま)内野手(2年)が公式戦初4番で2安打1打点。松山商時代の86年夏の甲子園で19安打を放ち、今なお1大会最多タイ記録として残る父譲りの勝負強さを発揮した。

 174センチの父の身長を、16歳の登間ははるかに超える。水口家の三男は180センチ、80キロ。それでも「あと5センチ伸びたらもっと楽しみ、と父から言われてます。ぼくにとっては、小さな体でプロで活躍していた父の姿が理想型なんですが」とあどけない顔で笑う。

 夏の初戦は、オリックス時代の父の本拠地、ほっともっと神戸。5歳のころ、父の試合そっちのけで球場内の遊具で遊んでいた思い出の場所で、公式戦初の4番に座った。広岡正信監督(64)は「いい選手ですが、気の弱さと脚力が課題」と言う。ただ水口本人は「前後に頼れる先輩がおられるので、自分のバッティングをするだけでした」と臆することはなかった。

 1点を追った4回1死一塁は、右中間を破る同点の適時二塁打。同点の7回は、先頭の竹田陽樹(はるき)外野手(3年)が右前打で出塁して無死一塁。一塁線を破るエンドラン成功の鋭い打球で無死二、三塁とし、勝ち越しの6点奪取につなげた。

 昨秋初めてベンチ入りも、今年3月の宮崎遠征で結果を残せず春の県大会はベンチ外。不振のときは、父の言葉を頭の中で反すうし、バットを振った。今は兵庫夙川ボーイズGMで小・中学生に野球を教える父には、幼いころから「最短距離でバットを振るように」と教えられた。

 松山商(愛媛)主将だった86年夏の甲子園で、今なお1大会最多タイの19安打を放った父は「あのときはボールが止まって見えた、と話していました」。登間も5月末の練習試合・八幡商(滋賀)戦で本塁打、三塁打、二塁打と大当たり。夏は背番号を取り戻した。

 近年はオリックス弓岡2軍ヘッドコーチ兼育成統括や阪神元コーチの八木裕氏(53)のジュニアが野球部に在籍。第1回から100回出場を続ける皆勤校の歴史だ。今年は、稀代のヒットメーカーの三男が親子2代の甲子園を目指す。【堀まどか】

 ◆水口登間(みずぐち・とうま)2002年(平14)2月22日、大阪府生まれ。苦楽園小1年から「苦楽園オールヒーローズ」で主に投手として野球を始める。苦楽園中では軟式野球部に所属。関西学院では1年秋に背番号20でベンチ入り。50メートル走6秒8。高校通算6本塁打。目標の選手は父。180センチ、80キロ。右投げ左打ち。

 ◆水口栄二(みずぐち・えいじ)1969年(昭44)1月9日、愛媛県生まれ。松山商で86年夏の甲子園準優勝。早大から90年ドラフト2位で近鉄入団。シュアな打撃の内野手として活躍し3度の最多犠打。07年引退までの実働17年で1561試合、打率2割6分9厘、53本塁打、417打点。現役時代は174センチ、78キロ。右投げ右打ち。