両手骨折から復活した主将、鎌倉学園・西畑侑飛

ケガのあとを見せる鎌倉学園・西畑主将(撮影・松熊洋介)

<半端ない夏 鎌倉学園・西畑侑飛捕手(3年)>

<高校野球南神奈川大会:横浜7-3鎌倉学園>◇29日◇決勝◇横浜スタジアム

 ケガから驚異の復活をした主将が、チームを決勝まで導いた。3月中旬の練習試合で相手打者のバットが当たり、左手首を粉砕骨折。プレートとボルトを入れた。「もう復帰は無理かな」と思っていたが、竹内監督が仲間からの色紙を持って病院を訪れ「必ず戻って来いよ」と励ましてくれた。リハビリもうまくいき、ようやく右手だけのメニューに取り組んでいたところだった。春県大会の金沢戦で応援後、帰宅中に自転車に衝突された。右腕が電柱に挟まれ右手人さし指を骨折した。

 両腕で骨折5回とケガが多かった小・中時代に比べて故障もなく日々の練習に打ち込んでいたが、最後の年にまさかの両腕負傷。家族の前で初めて涙した。それでも主将の帰りを待つ仲間のエールに応えようと、完治前にもかかわらず、グラウンドに足を運んで声をかけた。西畑は「初めて周りから練習を見ることで、チーム状況が分かるようになった」と視野の広がりを感じた。同時に「野球が好きだな、またやりたいな」との強い思いが、6月への復帰を後押しした。

 無得点だった最終回、円陣の中心で「20分攻撃を続ければ8点取れる。最後の1球まで集中していこう」と声をかけ意地の3点を奪った。「強い相手に出し切って負けたから悔いはない。後輩には竹内監督を甲子園に連れて行って欲しい」。やり切った主将の目に涙はなかった。【松熊洋介】