前橋育英・恩田、高橋光成ばり笑顔で完封一番乗り

前橋育英対近大付 9回裏近大付2死、山中を二ゴロに打ち取り完封勝利を挙げた恩田(撮影・加藤哉)

<全国高校野球選手権:前橋育英2-0近大付>◇7日◇1回戦

 スマイル大作戦で2年連続の初戦突破だ。前橋育英(群馬)恩田慧吾投手(3年)が第100回全国高校野球選手権大会で完封一番乗りを飾った。制球重視の打たせて取る投球で6安打4三振2四死球。近大付(南大阪)に2-0で勝利した。高橋光成投手(21=西武)を擁して初優勝した13年以来2度目のVに向けて、絶好のスタートを切った。

 前橋育英・恩田を中心にナインがマウンドに集まった。2点リードの8回1死二塁。この日2度目のピンチの場面でも恩田は笑顔を崩さなかった。直後の打者に左前打を浴びたが、この回から左翼にまわった丸山が本塁で走者を刺し、ピンチを脱した。長年の夢だった甲子園での1勝に、完封一番乗りのおまけまでついた。「初めての甲子園で1勝できてよかったです。完封は意識しないで、1回1回投げていたら終わっていた。前橋育英に来て間違いじゃなかった」と笑顔で話した。

 172センチ、60キロの小柄な右腕が9回をわずか103球で投げきった。「今日はスピードが出なかったので、コースを意識してテンポよく投げることを意識した。打たせてもアウトにしてくれる内、外野がいるので」と打たせてとる投球でゴロの山を築いた。

 笑顔が成長の証しだった。1年時から愛用し、群馬大会を共に勝ち抜いたグラブには「辛い時こそ笑顔」の刺しゅう。ピンチでも笑顔でいられるようになり、甲子園から使用するグラブに刺しゅうはない。笑顔を意識するきっかけは同校初出場初優勝時のエース高橋光成(現西武)だ。「前橋育英が初出場で優勝した時に、テレビで初めて前橋育英を知った。ここなら絶対に甲子園に行けると思った。光成さんはレベルが違う。ピンチでも笑ってるイメージ」と中1の夏に笑顔の大切さを知った。

 試合前夜には、宿舎に激励に来てくれた憧れの高橋光成から「自分を信じて練習通りやれば、おのずと結果はついてくる」とアドバイスを受け握手。パワーをもらった。恩田は「もう1度日本一をとって群馬に帰りたい」と笑顔。5年ぶり2度目の夏制覇に向け、最高のスタートを切った。【久永壮真】

 ◆恩田慧吾(おんだ・けいご)2000年(平12)9月28日生まれ、群馬県東吾妻町出身。小学1年から坂上インパルスで野球を始めた。野球と並行で小学1年から6年まで合気道も続けた。坂上中では軟式野球部に所属し、15年に坂上中など5校が統合し、東吾妻中に。持ち球は直球、カーブ、スローカーブ、スライダー、チェンジアップ。最速145キロ。将来の夢は消防士。家族は祖父、祖母、父、母、姉1人。172センチ、60キロ。右投げ右打ち。

 ◆群馬県勢の完封勝ち 継投を除くと、13年優勝の高橋光成(前橋育英2年=現西武)が1回戦で岩国商、2回戦で樟南をともにスコア1-0でマークして以来5年ぶり。