横浜バッテリー「心臓やばかった」9回窮地肝冷やす

9回裏花咲徳栄の攻撃を何とか振り切り16強にコマを進め、黒須(右)と角田はハイタッチ(撮影・浅見桂子)

<全国高校野球選手権:横浜8-6花咲徳栄>◇14日◇2回戦

 横浜(南神奈川)が昨年大会優勝の花咲徳栄に競り勝った。4回に一挙6点で7-1としたが、花咲徳栄のプレッシャーを受け、最後は防戦一方。4点リードの最終回に、肝を冷やす逃げ切り劇を演じた。

 まず3番手右腕の黒須大誠(2年)が3四死球を与え、1死満塁。1発出れば同点の局面でプロ注目のスラッガー野村を迎えた。6回に抜けた変化球を2点本塁打されただけに、角田康生捕手(3年)の要求は内角直球。黒須も応え、どん詰まりのゴロに仕留めた。ところが、それが内野安打になってしまった。

 黒須 あ~っと思った。

 角田 (攻め方は)完璧でした。それだけに“この流れはやばい”と…。“同点までは仕方ない”と必死に気持ちを切り替えました。

 リードは3点になり、なお満塁。5番羽佐田を一邪飛に打ち取ったが、6番倉持にまた死球。打者がスイングしたように見え、角田は「スイングじゃないですか、と審判に確認したら“当たってから振った”と言われて、なら仕方ないと…」。またも気持ちを切り替える羽目になった。

 リードはついに2点となり、2死満塁。7番井上にフルカウントとなり安打=同点必至。絶体絶命の局面で、バッテリーの選択は内角高めの直球だった。結果は外角低めにワンバウンド、それに井上が手を出し、空振り三振。かろうじて勝利を手にした。

 黒須 弱気になったら、絶対にダメ。自分に“腕を振るんだ”と言い聞かせました。最後は少し引っ掛かって“振ってくれ~”と。

 角田 助かりました。

 優勝候補対決のクライマックスに、4万人超の大観衆で埋まった甲子園はヒートアップしっぱなしだった。黒須は「力んじゃってるのはわかってるのに、どうにも力が抜けなくて…。校歌を歌っている時も足が震えて、本当に勝ったのかわからなかった。でも、最後は今まで(の野球人生)で最高の場面でした」と興奮気味に振り返った。角田は「きょうはちょっと大変でした。心臓やばかった、ずっとバクバクしてて。ただ(捕手として)本当に貴重な経験ができたと思います」。

 横浜の勝利を瀬戸際で支えたバッテリーには、安堵(あんど)の笑みばかりが浮かんでいた。