近江・北村4連続適時打6打点「全部仕留められた」

常葉大菊川対近江 7回裏近江2死一、二塁、北村は左翼に2点適時三塁打を放つ(撮影・浅見桂子)

<全国高校野球選手権:近江9-4常葉大菊川>◇17日◇3回戦

 近江の4番・北村恵吾内野手(3年)が全4打席連続タイムリーで17年ぶり8強に導いた。初回先制打、中押し、ダメ押しの6打点。11打点は今大会断トツの“打点王”。初戦の智弁和歌山に続き前橋育英(群馬)、この日の常葉大菊川(静岡)と甲子園V経験校を3連破。今日18日の準々決勝は吉田輝星投手(3年)擁する金足農(秋田)にぶつかる。

 4打席連続タイムリーの離れ業。だが北村は塁上で笑顔を見せなかった。「打ったとしても、試合は終わっていない。喜ぶとそこで気持ちが切れてしまうかもしれない」。実直な4番は最後まで貪欲に勝利を追求し続けた。

 最初に甲子園を沸かせたのは初回、2死一塁の場面。真ん中高めにきた榛村のスライダーをフルスイング。「必ず長打を打って、先制点を取りたい」。その思いをバットに込め、中越えの適時二塁打を決めた。その後も、「甘い球を一発で全部仕留められました」。打席に入るたびに快音を響かせ、6打点の大暴れで17年ぶりの8強を導いた。

 初戦の智弁和歌山戦で2発を放つなど、今大会は13打数8安打。11打点は断トツの“打点王”だ。ロッテ永野チーフスカウトは「打撃の基本ができていてセンスが良い。しっかり振り抜けるから、少々詰まっても外野の前に落とせるパワーもある」と高評価した。

 転機は今年6月、多賀章仁監督(59)との進路面談にある。膝を交えて話し合い、大学に進学せずにプロ志望届を出すことを決めた。多賀監督は「そこで覚悟決めたことが活躍につながっている」と明かす。そして指揮官から「勝ち上がるためにはお前が打たないと。長打のない4番はいらない」と激励されて発奮。「絶対に甲子園に連れて行きます」と誓い、滋賀大会5割3分3厘の高打率で多賀監督を聖地に立たせた。「この夏、絶対活躍してプロに行きたいと練習にも打ち込んできた」。面談での決意そのままに、大舞台で結果を出し続けている。

 初戦ではセンバツ準優勝の智弁和歌山(和歌山)に7-3で打ち勝ち、2回戦は前橋育英(群馬)にサヨナラ勝ち。そしてこの日の常葉大菊川と甲子園での日本一経験校を3連破した。

 それでも北村は気を緩めない。「最低限の目標がベスト8。ここまで来たら優勝を目指します。近江旋風を巻き起こしたい」。次戦はこの日、同じく日本一経験校の横浜を破ったプロ注目右腕、吉田擁する金足農戦だ。滋賀県勢、悲願の初優勝へ。3試合連続13奪三振以上の好投手相手に、近江の4番が真っ向勝負を挑む。【鶴屋健太】

 ◆北村恵吾(きたむら・けいご)2000年(平12)12月18日生まれ、岐阜・大垣市出身。小学2年から大垣北クラブ(軟式)で野球を始める。中学時代は西濃ボーイズに所属。近江では1年春からメンバー入り。家族は父、母、兄、姉。特技はボウリングでハイスコアは200超え。将来の夢はプロ野球選手。182センチ、83キロ。右投げ右打ち。