石岡一21世紀枠でセンバツ「新しい形の文武両道」

21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場が決まり栽培した野菜を手に笑顔を見せる石岡一ナイン(撮影・足立雅史)

地元のために戦う。第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日、大阪市内で開かれ、石岡一(茨城)が21世紀枠で選出された。昨秋県大会は準決勝で敗れ関東大会出場は逃したが、園芸科などを有する同校は、農業を通じた「新しい形の文武両道を示す可能性がある」などと評価された。部員49人全員が茨城出身。春夏通じ初の甲子園出場は、支えてくれる地域への恩返しだ。

石岡一のグラウンドに、どんどん人が現れた。その数50人ほど。OBや地元のファンだ。「おめでとう!」。「よかったぁ~」。喜びの声が飛んだ。野球部OB会最高顧問の狩野勇次さん(77)は「うれしくて、うれしくて。(卒業から)60年、夢見てきた。精いっぱい、頑張って欲しい」と感無量の様子だった。

地域に愛されている。練習を見守る温かい目がある。コロッケ、唐揚げ、バナナなどの差し入れが届くことも多い。酒井淳志主将(2年)は「21世紀枠で選ばれた責任を感じます。地域、OBの方々に恩返しできるよう、励んでいきたい」と口元を引き締めた。川井政平監督(44)は「選んでいただいた甲子園。サポートしていただいた方々の応援のエネルギーが…」とまで言って、詰まった。涙が込み上げていた。

人口流出が続く石岡市にとって、明るい話題だ。昨年10月で7万3883人だったが、10年前(8万105人)から約7・8%も減った。同校から500メートルほど離れたところに住む80歳の女性は「練習の声が、ここまで聞こえるのよ。頑張って欲しいわ」と笑顔で話した。向かいの店は、駅前の一等地にもかかわらず休業中。テナント募集のままの建物もある。

酒井は「茨城から全国に名をとどろかせたい。(エースの)岩本は全国レベルだと思う。野手の力が加われば、甲子園で勝つのも夢じゃない」と意気込んだ。同市から初の甲子園。石岡に、元気を与える。【古川真弥】

<石岡一選手ひと言>

松野稜投手(2年) うれしい半面(ベンチ入りできる)18人に入れるか不安もあります。頑張らないと。

小松崎駿投手(1年) しっかり準備して、岩本さんが調子を崩した時、悔いがない投球をしたい。

田口和麿捕手(2年) 生活面、登下校からしっかり意識することを全員でやっていく。

飯塚大翔捕手(1年) 生活面から、もっとしっかりやらないと。一丸で戦います。

中嶋祥允一塁手(2年) 貴重な体験。喜びいっぱいです。徐々にプレッシャーも出てくるだろうけど、支えてくれた方々への感謝を表現したい。

堀川舜太二塁手(2年) 甲子園では、持ち味の守備を発揮できるようにしたい。

干場聖斗一塁手(1年) 夢の舞台で、皆さんの目標になれるようなプレーをしたい。

塚本圭一郎二塁手(1年) 秋の大会は、チャンスで打てず岩本さんの足を引っ張った。甲子園ではチームを救うプレーをしたい。

友部陸三塁手(2年) 21世紀枠に選ばれたのは、先輩方のいろんな応援のおかげです。恩返ししたい。

武田翼左翼手(2年) 相手は格上。胸を借りるつもりで、21世紀枠らしく戦いたい。

飯岡大政三塁手(1年) 昨秋の藤代戦は9回に自分のエラーで追い付かれ、タイブレークで負けた。岩本さんに責任を感じてました。取り返したい。

藤井蛍中堅手(2年) 練習で当たり前にできていることをやって、勝利に貢献したい。

黒沢清純右翼手(1年) 持ち味の元気を出して、ベンチワークをしっかりやりたい。