盛岡大付166cm阿部が11回完投 病気昨年克服

石岡一対盛岡大付 6回表石岡一2死満塁、干場を三振に仕留めガッツポーズする盛岡大付・阿部(撮影・柴田隆二)

<センバツ高校野球:盛岡大付3-2石岡一>◇25日◇1回戦

盛岡大付166センチエース左腕・阿部秀俊投手(3年)がセンバツのマウンドで輝いた。155球の粘投で、延長11回を2点に抑え、サヨナラ勝ち。

多彩な球種を低めに集め、打者44人に対し、23個の内野ゴロ。「相手投手は三振を多く奪っていたが、打たせてとるのが自分。何回までとかではなく、勝つまで投げ続ける気持ちでした。アドレナリンが出まくっていたので疲れはないけれど、ホテルに帰ったら気持ち良く眠れると思う」。9回2死から追いつき、勝利をつかむ「盛付(もりふ)劇場」の主役を演じた。

股関節が壊死(えし)する「ペルテス病」も乗り越えて、聖地の舞台に立った。小4時にエックス線検査で発覚して手術。車いす生活が続くなど約2年間はプレーから遠ざかり、父修英さん(43)と出来る限りの自宅練習を継続した。入学後は、今でもバッテリーを組む島上が就寝前にマッサージもしてくれる。年1度は都内に通院してきたが、昨年に医師から完治宣告。「もう不安はない。苦しい場面でも自分が強いことを証明できた」とスタンドで見守る両親に手を振った。

同校にとって春夏通じた甲子園10勝目の勝利球を仲間から譲られ「家族に感謝の気持ちを込めてプレゼントしたいです」。島上と一緒にお立ち台に上がり、右尻のポケットに大切にしまった。【鎌田直秀】