罰則なしのサイン盗み ルール確認契機に/記者の目

習志野対星稜 4回表習志野2死満塁、打者兼子の時、星稜・林監督から抗議を受け、話し合う審判団(撮影・上山淳一)

<記者の目>

<センバツ高校野球:習志野3-1星稜>◇28日◇2回戦

習志野が大会規則9に反する行為をしていれば、当然、許されることではない。一方で、反していなければ、今回の出来事は、ぬれぎぬということになる。まずは真実をはっきりさせたいが、残念ながら証明はできないだろう。映像を確認したところで、疑わしい行為があったかどうかは確認できても、「たまたま、そういう動きをしただけ」と言われれば、それまで。やられた側には、いつまでも「本当はやってるだろう」という疑念が残るはずだ。結局、やった側が「サインを盗みました」と認めない限り、誰もがスッキリする状況は生まれない。高校生のスポーツ記事にもっともふさわしくない言葉の1つだと思うが、“自白”がない限り、謎のままで終わる可能性が高い。

どうすればいいのか。試合後に相手監督に詰め寄った星稜・林監督の行為を問題視する声もあるだろう。だが、その是非は別として、行為が引き起こされた背景に目を向けたい。繰り返しになるが、大会規則で定められている以上、罰則規定がなくても絶対にやってはいけない。ルールなきスポーツは存在しないからだ。勝つためだからといって「やったもん勝ち」の状況を作ってはいけない。改めて、ルールを確認する契機にして欲しい。【アマチュア野球担当・古川真弥】