「常総のバレンティン」菊田が高校通算43号2ラン

高校通算43号を放った常総学院・菊田(撮影・金子真仁)

<高校野球練習試合:常総学院2-1横浜>◇12日◇千葉県内グラウンド

「常総のバレンティン」が勢いに乗ってきた。常総学院(茨城)のスラッガー菊田拡和外野手(3年)が12日、横浜(神奈川)との練習試合で高校通算43号をかっ飛ばした。

第1試合に専大松戸(千葉)のサイド右腕・横山陸人投手(3年)から2安打し、迎えた第2試合の初回1死二塁。カウント2-2と追い込まれながら、横浜の右腕・木下幹也投手(2年)の外角高め140キロ速球を、右中間最深部へ放り込んだ。球界に希少な右打ちの強打者候補は「うまく運べました」と決勝2ランを満足そうに振り返った。

この1月、佐々木力監督(52)が意外な事実を明かした。「常総で本塁打を40本以上打った選手、いないんですよ。だからもし菊田が40発打ったら史上初です」。その時点で通算31本塁打だった菊田は、シーズンインの3月以降、すでに12発と絶好調。あっさりと「40」をクリアしていた。

肉体強化はもちろん、オフはプロ野球選手の動画を眺めることを増やした。「落ちる球に弱かったので、動画も参考に、軸足に体重をしっかり乗せて打つことを意識するようにしました」。特に心酔する西武山川の動画は、試合前には必ず再生する。第1試合では難しい変化球を片手でさばいてヒットにするなど、対応力の高さも示した。

この日は常総学院、横浜、専大松戸の関東強豪3校による練習試合。千葉県内のグラウンドには、プロ6球団16人のスカウトが詰めかけた。「難しい球もしっかり前でさばけるし、あそこまで飛ばせるのは魅力的」と話すのは巨人内田スカウト。多くのスカウトが、スイングスピード165キロという強烈な振りを、映像に収めていた。

まだ甲子園出場がない。同じ右スラッガーの山梨学院・野村健太(3年)が甲子園で活躍したことには「悔しいし、意識します」。野村が「山梨のデスパイネ」なら、名門の記録を塗り替えた菊田は「常総のバレンティン」だ。「最後の夏まで、もう無駄な時間はありません。1日1日を全力でやっていきます」と意気込んでいた。【金子真仁】