佐々木朗希の球見えない?濃霧で試合中断の可能性も

開会式終了59秒後にバスに乗り込んだ大船渡・佐々木(撮影・金子真仁)

大船渡(岩手)の最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)は、春季県大会1回戦(対釜石)を18日に迎える。16日は会場の野田村ライジングサンスタジムで開会式に参加したが、球場周辺は日が昇るどころか、三陸特有の「やませ」で五里霧中。試合日はブルペン四方がシートで覆われることも決定。いろいろな意味で、160キロはハッキリ見えるのだろうか…。

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開会式を終えての「選手退場」のアナウンスから59・07秒後、他校と別通路をナインと歩いた大船渡・佐々木は、もう帰りのバスに乗り込んでいた。当初の予定通り、報道対応はなし。式終了の2分46秒後、バスは出発。霧の中へ消えた。

その霧が、どんどん濃くなる。翌日の準備に励む高野連関係者が「やませです」とつぶやいた。「ここはこの時期、本当に濃い。私も途中で生徒たちに練習を止めさせたことがある。BSO表示も見えなくなる。(今大会も)見えない時があるかもしれませんね」と真顔で話し、濃霧時の試合中断の可能性を示唆した。佐々木の高いリリースポイントは、霧の白さと重なってしまうかもしれない。

やませ以前に、試合前から注目右腕の姿は見えにくくなる。同球場のブルペンは本来、四方から眺めることが可能な構造だが「ブルーシートで四方を囲むことを決めました」と岩手県高野連・大木秀一事務局長(48)が明言した。ファンの殺到、不慮の事故を避けるための緊急措置となる。

今大会で3勝すれば夏の県大会のシード権が確定する。初戦からチームを波に乗せる意味でも、最近は140キロ前後に直球を抑える佐々木が、リミッターを外す可能性はある。160キロの目撃者は少ない。「本当に160キロを投げられるのか?」。そんな野球ファンの霧を晴らすマウンドになるだろうか。【金子真仁】

◆やませ 主に東北・三陸地方で初夏に吹く偏東風で、寒流の上を吹いてくるために冷たい。下層雲や霧などを伴うため、日照不足や低温になりやすく、稲作などの冷害の原因となる。