大船渡・佐々木の混乱防止、席取りは安全に平和に

一番近い駐車場から席取りに走る観客を想定し、試走して階段を駆け上がる本紙・金子真仁記者(撮影・鎌田直秀)

春季高校野球岩手県大会が16日、開幕した。最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)を擁する大船渡は、18日に釜石との1回戦を迎える。

会場の野田村・ライジングサンスタジアムでは「とにかく選手たちに混乱が起きないように」と、無事の大会運営を願い、高野連関係者たちによる準備が進んでいる。

大船渡が出場した沿岸南地区予選では、会場の釜石市、住田町の球場でそれぞれ、収容人数を大きく超えるファンが訪れた。いくつかの問題も起きた。「その反省は生かしたい」と岩手県高野連の大木秀一事務局長(48)は話す。

特に目立ったのは「席取り問題」だ。地区予選の両球場は敷地内で一部施錠はしたものの、球場には出入りしやすい状態だった。球場には入場券(大人500円)を買って入場するのがルールだが、そのアナウンスが徹底されていなかったこともあり、早朝4時半時点ですでに約30人がスタンドに着席。球場関係者が「チケットを売り出したら、一度外に出て買ってください」と異例のお願いをするシーンもみられた。

この県大会では、その点を是正する。球場は上り坂の行き止まりにあり、その中腹に駐車場がある。「この大会では駐車場入口の時点で規制します」と大木事務局長は話した。規制解除は、第1試合開始3時間前の朝7時前後になる可能性が高いという。それまでは規制線の前で、駐車順を待つことになる。

球場周辺の駐車場は2カ所あり、合計で1000台ほどは駐車可能になっている。夏の県大会シード権にもつながる春季県大会。佐々木の「本気」を期待し、多くのファンが訪れる可能性が高い。「県大会は行く予定です」と明言したプロ野球スカウト陣も多く、駐車場入りでの「朗希渋滞」が朝から発生する可能性さえ、ありそうだ。

駐車場開放と同時に、球場正面でチケットも販売開始される予定。駐車後によりよい席を求め、球場への上り坂を駆け上がっていく熱心なファンたちの姿もありそうだ。試しに最寄りの駐車場から球場正面まで走ってみた。約80段の階段がしんどい。私(38歳男性)は1分10秒かかった。直後に東京本社の上司に息切れしながら電話したら「何を苦しそうにしてるんだ」と笑われた。

上司の指摘は大変ごもっともで、全力疾走する必要など全くないし、むしろ危ない。(出るかもしれない)160キロを、よりよい場所で目撃したい-。そんな思いを封じ込め、ぜひ安全に、平和にチケット売り場へ向かいましょう。その場の雰囲気をがらりと変える佐々木朗希のストレートは、球場のどこから見てもゾクッとします。【金子真仁】