日大山形・渡部、東北頂点へU18合宿で攻守に成長

攻守でチームを引っ張る日大山形・渡部

春季高校野球東北大会(6日開幕、荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがたほか)の組み合わせ抽選会が5月31日、山形市内で行われた。2年ぶり29度目出場の日大山形(山形2位)は、U18高校日本代表候補の渡部雅也捕手(3年)が攻守の中心。4月上旬に開催された同代表1次候補合宿で得た収穫も生かし、令和初の東北王者に挑む。初戦となる2回戦の相手は、弘前学院聖愛(青森2位)に決まった。

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渡部が攻守の要としての自覚を漂わせた。練習中もキャッチボールから大きな声で仲間と高め合った。「自分の持ち味は長打。東北大会では、マークも厳しい中でホームランを打ってチャンピオンを狙いたい。投手陣は継投になると思うので、それぞれの良さを引き出せればいい」。今春は村山地区大会で放った高校通算12号の1発だけだが、4番としての勝負強さは健在だ。捕手としても肩やリードで貢献した。

昨秋には太もも肉離れ、今春には右肘を手術したが、その間に基礎体力アップに成功した。成長に拍車がかかったのは、自身初の日本代表候補合宿だった。打撃では今春センバツ優勝の東邦(愛知)スラッガー石川昂弥投手兼内野手(3年)から学んだ打席での意識は衝撃だった。「今までは真っすぐを待って変化球に対応していたが、石川くんは逆だった」。変化球を打つタイミングで直球に対応する“新打法”を短期間で導入した。「大振りではなく、よりコンパクトに鋭く振れるようになった」。4月下旬の作新学院(栃木)との練習試合では、今までとは違う感覚で内角スライダーをスタンドイン。自分のものにした。

守備では星稜(石川)山瀬慎之助捕手(3年)からステップを助言してもらった。送球時の前足に体重を乗せること。「自分は早く投げようとステップを小さくしていたが、そこに1つ意識が加わるだけでボールの勢いが力強く変わりました」。ロッテ田村龍弘捕手(25)の練習映像で学び、ショートバウンドへの対応も確実に上達した。

大船渡(岩手)佐々木朗希投手の速球を、紅白戦のイニング間で受けた衝撃も忘れられない。「本当は東北大会で対戦したかった」。お互いプロ志望だけに宿敵視する意識もある。全国NO・1の「打てる捕手」の評価を得るためにも、同校44年ぶり4度目の東北頂点を導いてみせる。【鎌田直秀】